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「ストップ負担増」14万筆超、国会集会で患者実態訴え
75歳以上2割負担 年末決定中止に

全国保険医新聞2020年11月25日号より)

ウェブを通じた全国からの参加者

 

 政府は全世代型社会保障と称し、あらゆる世代への負担増を進め、75歳以上の患者の窓口負担2割への引き上げについては年末にまとめるとしている。全国保険医団体連合会(保団連)は11月12日、国会内で集会を開き、ウェブ参加を含めて集まった医師・歯科医師ら120人から「みんなでストップ!負担増」請願署名14万2,069筆を衆参の国会議員に提出した。

 

衆参の国会議員に署名を手渡した会場の参加者

 集会で保団連の住江憲勇会長は「国民が政治に期待しているのは、新型コロナウイルス感染症拡大防止への抜本対策、生活と生業の困難への対応だ」と指摘。緊急事態宣言が出された後も国は公衆衛生の整備、社会保障の充実、賃金・収入補償を拒み続けているとして、「国民にただただ精神論で乗り切れと言っているに等しい」と批判した。
 さらに、「菅政権は、自助・自己責任を強調し、負担増を進めている。患者さんの実態が分かる医師・歯科医師が声を上げ、負担増を止めよう」と呼び掛けた。

 

総義歯必要なまでに口腔悪化

 神奈川協会の馬場一郎氏は、「後期高齢者医療制度創設による負担増は2009年に自民党が政権を失うことにつながった。負担増反対の大きな世論を政府は恐れる」と呼び掛けた。馬場氏は自院の状況を紹介し、「5カ月間定期検診に来られず総義歯が必要な状態まで口腔内が悪化した患者さんがいた。受診抑制は患者さんの健康悪化に加え、医療機関の減収に拍車を掛ける。患者、医療機関が共倒れしないよう負担増を止めたい」と訴えた。

 

懸命の暮らし脅かす

 岐阜協会の竹田智雄氏も経済的な理由による受診抑制の事例を紹介。「高血圧治療を続けていた非正規雇用の50代男性は、消費税増税で生活が苦しくなる中、コロナ禍で解雇された。医療機関での支払いさえ負担と感じ、薬が切れたままでいるうちに、脳梗塞を発症。右半身に麻痺が残った」と話し、「多くの人がコロナ禍で生活苦に陥っている。窓口負担増は懸命に暮らす人の生活、命と健康を脅かすものだ」と強調した。

 

コロナ虫歯も

 静岡協会の山田美香氏は、子どもたちの「コロナ虫歯」の危険性を指摘。「3歳児健診の際、削って治療する必要がある虫歯が22人中3人に見つかった。これまでの健診ではほとんど見つかっていなかったことを考えると増えたと思う。コロナで定期的な受診ができない影響ではないか」と話した。また、「自治体によって子ども医療費助成に差があり、定額負担が必要な場合がある。数百円の負担でも低所得世帯には受診をためらう原因になる。家計を追い詰める負担増には反対だ」と訴えた。

 

暮らし立ち行かなくなる 認知症の人と家族の会 鈴木森夫代表理事

 集会では「認知症の人と家族の会」代表理事の鈴木森夫氏(写真)が発言した。要旨を紹介する。

「認知症の人と家族の会」
代表理事の鈴木森夫氏

 介護保険の利用料は制度発足当初1割負担だったが、2〜3割負担が導入された。財務省は2割負担を原則化するよう求めている。この上、高齢者の医療費窓口負担の2割化まで実施されれば、利用者も家族も生活が立ち行かなくなる。

 

心身機能低下、症状悪化は予想以上

 コロナ禍で認知症の人と家族は、外出自粛や面会制限、介護サービス利用の縮小・中止など不安と不自由の中で暮らしている。心身機能の低下、症状の悪化、経済的な負担増は、予想以上に大きく、先行きの見えない暮らしだ。
 10月には、要介護5になっても介護保険サービスを給付せず、自治体の独自事業「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象とできるようにする省令改正が強行された。今後、高額介護サービス費の負担上限引き上げなど、大幅な負担増が計画されている。
 政府は利用者負担増だけでなく、介護保険の受給権を脅かし制度の根幹に関わる制度改悪をコロナ禍にも関わらず次々に打ち出している。「介護の社会化」という理念を後方に追いやっている。

 

苦境の時こそ

 国民が苦境に陥る時にこそ、命と暮らしを守る社会保障を充実させることが国の責任だ。

以上

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