ホームニュースリリース・保団連の活動保団連の活動など 目次

75歳以上の医療費2割化法案、採決強行し衆院通過
健康への影響把握せず

全国保険医新聞2021年5月5・15日号より)

 

 政府・与党は5月7日、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」などを内容とする健康保険法等の一部改正案について、衆議院厚生労働委員会での採決を強行し、法案は11日に衆院を通過した。自民、公明、維新、国民が賛成、立民、共産は反対した。全国保険医団体連合会(保団連)の住江憲勇会長は、「受診抑制による健康影響の検証すらなく、高齢者の必要な受診の機会を奪う法案の採決をこのコロナ禍において強行したことに厳しく抗議する」との声明を発表した。今後は参院に審議の場が移る。保団連は、これまでに100万筆を超えた「2割化反対署名」をさらに広げ、今国会で徹底審議の上、廃案にする取り組みを呼び掛けている。

 

法改正せずに対象拡大可能

 政府は「2割化」によって75歳以上の高齢者の医療機関受診を抑制することによる給付費削減効果を900億円以上と見積もっている。衆院の審議では野党から、「高齢者が必要な医療を受けられなくなるのではないか」、「受診抑制によって健康への悪影響が生じないか」ということが再三にわたり問われた。しかし、政府から明確な答弁はなく、こうした問題があらかじめ検証された形跡もうかがえない。また75歳以上の高齢者のうち、2割負担の対象となる範囲(年収基準)は法改正を要せずに拡大できる制度設計になっていることも問題である。
 4月20日に行われた厚労委員会の参考人質疑で意見を述べた住江会長は、この間取り組んだ「クイズハガキ」などに寄せられた声を紹介。年金や介護の制度改悪が行われる中で、多くの高齢者とその生活を支える現役世代の不安と懸念が広がっているとして、「患者、国民の生活実態を踏まえた議論をすべき」と強調した。所得再分配のあり方から見て、医療保険財源を高齢者の負担増で賄うことの問題性も指摘した。
 同じく参考人として出席した日本福祉大学名誉教授の二木立氏も「2割化」反対を表明。「応能負担原則は税と保険料に適用されるべき」「医療に『受益者負担原則』を適用すべきではない」などと指摘した。

 

反対署名100万筆超える

 保険医協会・医会、保団連が、各団体とともにこの間取り組んできた「ストップ!患者負担増」署名や、「2割化反対」署名は累計で約100万4,000筆が集まった。4月22日には署名提出集会を実施。参加した立憲民主党や共産党の国会議員からは、法案成立阻止に向けて力を尽くす決意が語られた。
いま政府、国会が全力を上げねばならないのは、国民の生活、生業の保障や、病床や検査体制の確保、速やかなワクチン接種など医療提供体制を立て直すことであり、医療負担の「2割化」導入ではない。保団連は地域の患者・住民とともに「2割化」阻止に向けた取り組みを進めていく。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動保団連の活動など 目次