ホームニュースリリース・保団連の活動保団連の活動など 目次

負担増に反対 厚労委で参考人陳述

医療本来のあり方と真逆の制度設計―保団連 住江 憲勇会長
「応能負担」は保険料や租税で―日本福祉大学名誉教授 二木 立氏

全国保険医新聞2021年5月5・15日号より)

保団連 住江憲勇会長 日本福祉大学名誉教授 二木 立氏

 4月20日の衆院厚労委員会では、保団連の住江憲勇会長、日本福祉大学名誉教授の二木立氏が、後期高齢者の医療費負担2割化に反対の立場で参考人陳述した。住江会長は、負担を受け止める余裕のない高齢者の生活実態を具体的に示し、二木氏は、医療に「受益者負担原則」を持ち込むべきではないなどと強調した。

 

早期発見・治療が困難に

医療費2割化法案 衆院厚労委での参考人陳述

 4月20日の衆院厚労委で行われた、75歳以上の医療費2割化法案についての保団連の住江会長と日本福祉大学名誉教授の二木立氏の参考人陳述の内容を紹介する。

 

対象者の拡大は必至―保団連 住江憲勇会長

 コロナ禍という未曽有の困難に瀕する国民に、さらなる負担増という暴挙を強いることは許されません。日本の社会保障制度、所得再分配機能の脆弱さを取り返すことこそが求められます。
 医療に求められるのは、常に早期発見・早期診断・早期治療による安全・安心です。負担増による受診抑制・治療中断は、これを困難にします。医療本来のあり方と真逆の制度設計です。
 高齢者にとっては、現在の1割でも重い負担となっています。後期高齢者の年収に対する窓口負担が占める割合は、現役世代の2倍から6倍も高くなっています。
 そもそも2割負担の対象が「年収200万円以上」とは、法案に明記されていません。対象は国会審議の不要な政令で決めるとしております。ですから、対象者の拡大は必至と考えざるを得ません。
 田村厚労大臣は審議の中で、年収200万円の方々の家計調査によると年間12万円の余裕があると述べました。しかし、12万円の余裕など、それこそ1回入院でもしたら吹っ飛んでしまう額です。世帯主が75〜79歳の無職の夫婦世帯は、すでに月平均2万2,000円の赤字で、貯金を切り崩しながら生活しています。高齢世帯の2割が貯蓄ゼロです。高齢者の生活に、負担増を受け止める余裕はありません。
 私たちが行っている国会請願署名やクイズハガキキャンペーンでは、患者さんから「年寄りは長生きするなと言われているようだ」「国はもっと年金生活者の心細さを知ってほしい」といった声が届いています。国民の切なる願い、声にぜひとも寄り添っていただきたい。

 

公平な負担ではない―日本福祉大学名誉教授 二木 立氏

 私は支払能力に応じて負担する「応能負担原則」に大賛成です。しかしそれは、保険料や租税負担に適用されるのであり、サービスを受ける際は、所得によらず平等に給付を受けるのが社会保険の大原則と考えています。医療には「受益者負担原則」を適用すべきではありません。患者が医療を受けることで得る「利益」とは、病気から回復することつまりマイナスから正常の状態に近づくことであり、消費者がサービスを利用して得るプラスの利益とは大きく異なるからです。
 後期高齢者の一人当たり医療費は年91万9,000円です。2割負担を導入すると、年間の自己負担額は18万4,000円となり、3割負担である65歳未満の自己負担額の実に3.3倍となります。高額療養費制度を考慮しても後期高齢者の負担の方がはるかに多く、公平な負担とは言えません。
 厚労省の推計では、当面は配慮がなされているにも関わらず、受診日数が2.6%減少するとされています。国民がコロナ危機で疲弊しているときに高齢者を狙い撃ちした負担増を行えば、すでに生じている高齢者の受診控えを加速し、医療機関の経営困難をさらに悪化させる危険があります。
 後期高齢者の負担増による、現役世代の本人の負担減の効果は、保険料の事業主負担を考慮すれば月30円弱にすぎません。若い世代の負担を減らすならば、給与引き上げ、正規雇用化の推進、住居費、教育費への公的補助・支出が不可欠だと思います。今回の法案はこの課題から目をそらさせるためであり、公費・企業負担から高齢者負担へのコスト転嫁のダシに「現役世代」の負担増抑制が使われたと言えます。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動保団連の活動など 目次