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保団連夏季セミナー ジャーナリスト・青木理氏が講演
容赦ない権力行使が国を壊す 政権交代で統治機構回復を

全国保険医新聞2021年7月15日号より)

 

長期一強政権が政官の関係を
腐敗させたと語る青木氏

 新型コロナウイルス感染拡大を巡って、緊急事態宣言と再拡大を繰り返すという政府対応は完全に機能不全に陥っている。その一方、菅首相の長男による官僚への違法接待が明らかになるなど「政治とカネ」「権力の私物化」の問題が、コロナ禍でも後を絶たない。全国保険医団体連合会(保団連)の第50回夏季セミナー(7月3〜4日、東京開催)で講演したジャーナリストの青木理氏は、こうした状況を「安倍前政権以来の放埓な権力行使がこの国の統治機構を壊し、コロナ禍での機能不全につながった」と指摘した。講演の要旨を紹介する。(2面に夏季セミナ―概要、基調提案要旨)

 

医療整わない でも五輪はやる

 コロナ対策について、青木氏は、無症状者を含めた広範な検査や、陽性者の治療と隔離が必要なことは明らかだとし、「(国内の感染確認から)1年経っても体制が整わない。しかし五輪はやると。日本のコロナ対応は落第だ」と指摘した。
 また、安倍前首相が「安全保障」を強調し、他国が始めた戦争への参加(集団的自衛権の行使)を可能にする安保法制を成立させてきたことなどに触れ、「感染症こそ一番に想定するべき安全保障だった。政府は、『国民の生命と安全を守る』と繰り返してきたが、どう守ったというのか」と批判。ワクチン接種や医療提供体制と保健所機能の確保などこそ「命と暮らしに直結する安全保障だ」と述べた。
 その上で、「この国の政治や官僚システムなどの統治機構が、安倍前政権、菅政権の放埓な権力行使によって壊れてしまった。それがコロナ禍での政府の機能不全につながった」と強調した。

 

政官の関係壊した

 青木氏は、政治と官僚の関係の本来のあり方について解説。各省庁はそれぞれの分野の知見やデータを蓄積している「日本最大のシンクタンク」とし、官僚は政権の右派、左派に関わらず持ち得る知見を示し、政治家がそれを基に判断を下すものだと整理した。「これが本来の政治主導。時には官僚が政権に異議申し立てできるような環境が必要だ」と語った。
 その上で、このあり方を壊したのが、安倍政権下で2014年に設置された内閣人事局による官僚人事の掌握だと指摘した。「どのような組織でも人事は最大の権力。安倍前政権以降、この権力を容赦なく行使した」「すり寄ってくる人間を重宝し、異議を唱える人間は左遷する。こんなことをやっていては、官僚は正しい知見を示さなくなる」と、安倍政権で問題視された「忖度」を生む土壌を分析した。
 森友学園への国有地値引き売却では、安倍前首相が「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員もやめる」と述べたことから、公文書改ざんにつながった。配備停止となったイージスアショア(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)は、自衛隊からの要望がないにも関わらず、安倍氏がトランプ前米大統領との間で購入を約束したことから、ずさんな調査で候補地を定めることとなった。勤労統計調査方法の変更では、アベノミクスの成果を示す上で好都合なように賃金の伸び率が上振れする結果を生んだ。
 これらを例に上げた青木氏は「首相が大見えを切り、それに合わせて官僚が知見をゆがめる。全て同じ構図だ」と強調した。また、菅首相による日本学術会議会員人事への介入などを例に、人事を通じた支配は、学術界などにも広がりかねないと指摘した。

 

支持政党関わらず

 青木氏は、「この10年の『一強支配』の下で壊された統治機構を回復させるには、政権交代が重要だ」と力を込めた。政権交代が現実的な状況ならば、官僚は新政権下で暴かれかねない不正は犯せなくなると指摘。「支持政党や思想信条の左右に関わらず、政権交代がこの国の政治に必要なものだ。野党や関係者は全力を注いでほしい」と強調した。

以上

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