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保団連夏季セミナー・シンポジウム
新型コロナ感染拡大と地域医療のあり方を問う

全国保険医新聞2021年9月15日号より)

 

司会の吉中理事
シンポジウムに登壇した
パネリスト
竹田氏
河原林氏
中村氏
長友氏

 保団連は7月3、4日に第50回保団連夏季セミナーをウェブ併用で開催し、全国から医師・歯科医師434人が参加した。「新型コロナ感染拡大と地域医療のあり方を問う」をテーマにシンポジウを開催し、コロナ禍で奮闘する医療現場の実践と課題、行政への支援などを討論した。概要を報告する。

 

 シンポジウムはコロナ禍でも日常診療の継続が求められる地域の医療機関の奮闘やコロナ対応を交流するとともに、脆弱性が露呈した日本の医療が抱える課題と今後の地域医療のあり方を問う目的で開催した。
 受診減・収入減で医療機関経営の困難が続く中、コロナ収束に向けて奮闘する地域の医療機関と地域医療のあり方を探った。

パンデミックにどう対峙したか

 司会の吉中丈志理事が「コロナパンデミックで開業医や民間病院はどのような活動を強いられたのか、そして国が進める医療提供体制はどこが問題なのかについて深めよう」と問題提起した。
 基調報告では、津市立三重短期大学教授の長友薫輝氏が「医療崩壊にもかかわらず国は公的・公立病院等の統廃合を粛々と進めている。地域医療構想は医師需給推計、看護師需給推計とも連動していて医療費抑制が狙いである」と述べ、「惨事便乗型の非科学的な政策」と強く批判した。
 岐阜市で診療所を経営する竹田智雄理事がコロナ禍での患者・住民を守るための積極的な医療実践を報告。発熱外来や動線分離の取り組み、治療中断や病状悪化させない取り組みが地元メディアで報道されて行政への働きかけなども注目され、会員を励ますことにもなったと報告した。竹田氏は、国は低医療費政策をやめ、平時から余裕・余力のある医療・社会保障政策が必要であると強調した。

命の選別迫られることも

 コロナ患者の入院対応にあたった民間病院として耳原病院院長の河原林正敏氏が報告。大阪府は第4波で、新規感染者が1日1,000人を超え、必要な入院も転院もできず医療崩壊に陥った。ストレスや不満から職場を離れるスタッフも出た。命の選別を迫られることもあるなど疲弊が続いている。病院運営としての意思統一の重要性も強調した。第5波に向けての協議の場として、堺市医師会では、コロナ重症病床の確保に向けた病院長会議も動きだした。

感染リスクと隣あわせの在宅医療

 東京都中野区で開業する中村洋一氏がコロナ禍の在宅医療の現状を報告した。外来患者減、経営困難に見まわれ、開業医が感染した時への対処として、日常的に地域の病院との連携が重要と指摘した。在宅医療の現場で感染拡大を防ぐためにも職員への定期的な検査(PCR)が公費でできるよう行政の支援が必要と強調した。

口腔ケアの重要性指摘も

 討論では、盛岡市で歯科開業する小山田榮二理事がコロナ禍の現状と課題について補足発言があった。昨年、4月、5月は歯科も患者減に見舞われた。小山田氏はその原因の一つとして「緊急性のない歯科医療は延期を」と求める厚労省通知が影響したと指摘。治療の延期でなくむしろ口腔を積極的にケアすることが感染予防になることを強調した。また、同通知の撤回や感染予防のための診療報酬の引き上げ、感染防護具の無償提供などが必要と発言した。
 コロナ収束に向けて民間医療機関が如何に立ち向かってきたかの教訓と課題を掴む機会として、医科・歯科ともに有意義なシンポジウムとなった。
(副会長 三浦清春)

以上

夏季セミナーには、全国から434人が集まった NHK岐阜が発熱外来(竹田医院)を紹介した

 

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