ホームニュースリリース・保団連の活動保団連の活動など 目次

第36回医療研全国共同調査結果報告
開業医の労働と健康の実態―生き生きと健康に働くために―

岐阜協会副会長 永田 正和
全国保険医新聞2021年11月5日号より)

 

 岐阜で9月19、20日に開催された第36回医療研究フォーラムでは、全国の会員を対象に実施された開業医師・歯科医師の働き方と健康調査の結果が報告された。概要を紹介する。

 2019年4月に「働き方改革法」が施行されたが、医業に従事する医師・歯科医師は対象外となり、過労死ラインを超えて働くことが認められている。また、そもそも開業医は事業主であり「働き方改革」の対象外であり、議論さえされていない。そこで、開業医・開業歯科医師の労働実態と健康実態を明らかにすることにより医師・歯科医師が「いきいきと健康に働く」には何が必要かを検討した。調査は、保団連の医科歯科開業医会員数8万6,702人(2021年1月1日付)の10%を無作為に抽出し、8,670人(医科開業医4,992人、歯科開業医3,678人)を対象として、調査票を郵送した。回収期間は、21年4月1日から5月31日とし、回答は2,391人、回答率は27.6%であった。

過労死ライン超えは17.8%

 結果は、70歳以上の割合が、全体で16.0%、医師で21.7%、歯科医師で9.9%と、医師の方に高齢者が多かった。労働時間(週)は、全体では40〜60時間が一番多く1,196人(50.0%)であった。過労死ラインを超える60〜80時間は335人(14.0%)、80時間以上が90人(3.8%)となり、合計で425人(17.8%)であった。80時間以上は、医科では61人(4.9%)、歯科では28人(2.4%)であった(図1)。
 また、労働時間が過度と感じている医師・歯科医師は48.2%と約半数であり、休日が週1日未満の人が2.5%であった。精神的ストレスがかなり強い、やや強いと答えた医師・歯科医師が約半数を超えていた。ストレスの内容としては、人事に関してのものが33.6%と多かった。また、経営状態が苦しいと答えた人が27.7%いた。
 健康については、健康診断を受けていない医師・歯科医師が15.2%おり(図2)、医科が13.4%、歯科が17.1%と歯科に健康診断を受けられていない傾向がみられた。また、健康診断を受けていない理由としては、受けたいが時間がないとの回答が55.5%と多かった。持病のある医師・歯科医師が56.6%おり、5.9%が持病があるが治療ができていなかった。仕事にやりがいを感じている医師・歯科医師は70.5%おり、医科で75.2%、歯科で65.5%と、医師の方が若干やりがいを感じている人が多かった。
 医療継承について、後継者がいると答えた人は21.9%で、後継者がいないか未定の人が75.6%であった。後継者がいない傾向は若干であるが歯科の方が多かった。後継者がいないと答えた人の中では、譲渡を考えている人が18.0%、廃院を考えている人が28.3%であり、譲渡は医科に、廃院は歯科に多い傾向があった。

診療報酬の引き上げが必要

 今後の働き方に対する要望としては、診療報酬の引き上げが一番多く、次に診療報酬の算定要件の簡素化、スタッフ雇用の不安解消、届出業務の簡素化であった。「いきいきと健康に働く」には、医師・歯科医師は診療報酬の引き上げが一番重要であると考えていることがわかった(図3)。また、医科は歯科に比べ医師数の増加、レセプトの簡素化の要望が多く、歯科は医科に比べ診療報酬の引き上げの要望が多い傾向にあった。
 医師・歯科医師が「いきいきと健康に働く」には、高齢化対策、労働時間の改善、経営状態の改善、健康診断に行ける環境の整備、後継者問題に関してのシステムの構築、診療報酬の引き上げ、レセプトの簡素化などが必要と考えられる(図4)。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次