ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次

第36回医療研 シンポジウム1
保険医が生き生きと働く工夫 夢と希望のある医療(医科)

岐阜県保険医協会副会長 永田 正和
全国保険医新聞2021年11月25日号より)

 

 岐阜協会が主務となり9月19、20日に第36回医療研究フォーラムが開催された。2日目のシンポジウム1では、「保険医が生き生きと働く工夫」をテーマに、医科会員らが自身の経験を踏まえて意見を交わした。内容を紹介する。

 国が進める「医師の働き方改革」は病院勤務医が中心であり、開業医は低診療報酬の現状の中で良質な医療を提供しようとすれば激務となり、健診を受ける時間もとれていないのが実態である。その中でも様々な「生き生きと働く工夫」をして日常診療をしている先生がたくさんいる。
 今回、医科会員である4人のシンポジストに保険医が「生き生きと働く」には何が必要かを自身の経験から講演してもらった。シンポジストのうち2人は現地で、もう2人はリモートで参加となった。

スタッフがやる気を出す雇い方

 岐阜県羽島郡の総合在宅医療クリニックの市橋亮一氏は、現在53人のスタッフを雇い、在宅専門クリニックを経営している。人的資源が仕事量を上回る状態を常に作ることが重要であり、入職希望者の「ウエイティングリスト」を作り、常にスタッフの理解を得ながら新たなスタッフを雇い入れている。「健康第一、家族第二、仕事第三」という価値観と、決算賞与は利益の3分の1を人頭割で山分けすることで一人一人がやる気を出すなどのスタッフの雇い方が重要であると述べた。
 岐阜市の矢嶋小児科小児循環器クリニックの矢嶋茂裕氏は、新型コロナウイルス流行で壊滅的な打撃を受けた。患者も減り、院外薬局も撤退してしまった。小児科は市から委託される健診や、任意のワクチン接種など保険診療でない収入も多い。海外渡航者のためのワクチン接種や家庭看護力養成講座、ビジネスPCR検査など保険診療にたよらない医療が経営の安定に寄与しているが、現在自費や低額で行っている目の屈折検査や新生児の超音波検査などは保険給付とすべき、と述べた。

多職種連携と医療機関連携

 大阪府堺市の嶋田クリニックの嶋田一郎氏は、地域医療を担う医師の資質は、いかに患者と家族の生活全般の把握に努めるかであり、自分の健康を守るには、医師の業務の負担を減らすことが課題であり、多職種連携と医療機関連携の充実が重要と述べた。

ジェンダー平等も

 岩手協会の小野寺けい子氏は、「岩手ふつうの会」を結成し、子どもの福祉・教育・医療の充実に力を注いでいる。日本では妊娠・出産の時期に女性医師の就業率が下がっており、女性医師が生き生きと働くためには、医師数の増加と産休・育休の充実、「男は仕事、女は家庭」から「男も女も仕事と家庭」への意識の変革が必要であり、ジェンダー平等が重要であると述べた。
 最後に、保険医が生き生きと働くには、診療報酬の充実、医師数の増加、医療機関連携、楽しみやすい環境の充実、報酬を確保する工夫、男女平等などが必要であると結論を得た。それぞれの医師の斬新な工夫と「夢と希望のある医療」への挑戦を聴くことができ、大変参考になった。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次