第36回全国保険医写真展 入賞・入選作品評

審査委員長 小松 健一

☆会長賞
「はじめまして」 工藤 美千代(徳島協会)

 お父さんが、生まれたばかりの自分の子供に初めて会った喜びが写真から伝わってくる。 特に父親がほほに触れようとしている指先、それに反応するかの様な赤ちゃんの手。赤ちゃんが知らずに静かに寝ている対比がおもしろい。赤ん坊に迫ってピントを合わせたことも成功している。お父さんの嬉しそうに笑っている姿はピントが合っていなくても十分伝わってくる。この瞬間を撮れたことに感動した。『はじめまして』のタイトルも良い。


☆審査委員長賞
「残雪に立ちあがる天の川」 岩本 久雄(大阪協会)

 この写真展ではあまり見ない、技術的に高いレベルの作品で、山岳写真としても高いレベルである。まだ残雪のある寒い時期に、天の川が立ちあがるのを待つという、リスクを顧みず果敢に挑戦をして撮影したことを評価したい。天の川の中に流れ星が入って、良いシャッターチャンスだ。


☆特選1
「天然のプール」 津田 洋幸(愛知協会)

 見た瞬間に面白い写真だと思った。マヤの言葉で「聖なる泉」と言われるセノーテ(地下水などが溜まった天然の井戸や泉)をプールとして飛び込んだり泳いだりする人、またそれを眺めている人々が上手に捉えられている。この国の生活文化を表現していると思った。

☆特選2
「シャッターチャンス」 土佐 征英(京都協会)

 函館山から臨む100万ドルの夜景。手前の人達がスマフォで一斉に撮っている姿は、今の時代性を表している。単なる観光写真的な夜景ではなく、インバウンドの旅行者の姿を手前に捉えて写しているところがこの作品の良さである。

☆特選3
「雨の中のハイイロチュウヒ」 藤野 佳世(徳島協会)

 野鳥の写真としても優れている。タイトルにもある雨の中というのが効いており、背景のボケ具合いもきれいである。チュウヒの目にピントがしっかりと合っており、翼の広げ方も絶妙なポイントで撮っている。この写真展で今までに見なかった写真であり、ほかの審査の先生方も推していた。


☆入選1
「氷瀑に挑む」 太田 美つ子(群馬協会)

 モチーフ(被写体)が珍しい。氷の壁、凍った滝を登っていく。最近の若い人たちの間で流行っているようだ。現地に行って、足元の危ないというリスクがあるにもかかわらず、自分の撮りたいものに迫って撮った。作者の思いが伝わってくる作品である。

☆入選2
「お父さん、暇だよう~」 善成 敏子(徳島協会)

 イケメンのお父さんを自慢そうにしている娘さんの気持ちが良くわかる写真。何気ない休憩中の一場面、娘が近づいてきて「お父さ~ん」と甘えているのが伝わってくる。それに答えるような父親の表情、仕草。雰囲気が醸し出す親子の感情が良く出ている作品である。タイトルもユニークで良い。

☆入選3
「土に還る」 河合 美枝子(大阪協会)

 倒木に苔が生えて土に戻っていく姿をとらえた作品。苔の美しさと同時に、一つの生命が終わり、土に還っていく。そこに新しい生命(ひこばえ)が芽生えているところまで写りこんでいればもっと良い作品になったと思う。生命の循環、自然の大切さ、環境の大切さを伝えようとしている作品である。

☆入選4
「母子」 佐藤 導直(神奈川協会)

 インドの子供の瞳の大きさ、深さに感動して撮ったのだと思う。お母さんの横顔を見える程度に入れこみ、子供に絞って撮ったことで親子の関係が良く出ている。インドの服飾は原色が多いので、カラーだと子供の瞳の凄さやお母さんの表情が奪われてしまうから、モノクロで表現したことが成功している。

☆入選5
「おりておいでよ」 西内 健(徳島協会)

 タイトルが表しているように、子どもが屋根の上にあがっているヤギにえさをやりながら「おりておいでよ」と声をかけている仕草が、子どもの表情はわからないが身体の動きでわかる。ヤギと友達のような関係が雰囲気から伝わってくる作品である。その瞬間と光をきれいに捉えている。

☆入選6
「雨中熱演」 西内 貴子(徳島協会)

 この作品の良さは、ザアザア降りの雨の中をものともせずに踊り手の声も聞こえてくるような、そんな瞬間を撮ったことだ。踊り手に負けないように、撮影者も雨の中をよく動き捉えている。機材が濡れてしまうので、あまり撮りたがらない場面に挑戦して撮ったことが良かった。踊り子の女性たちが美しい。
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