第37回全国保険医写真展 入賞・入選作品評
審査委員長 小松 健一
☆会長賞
「被爆80年 僕のメッセージ」 堀 司郎(広島協会)
昨年が被爆80年という、広島にとって、日本人にとっても忘れられない日であった。この写真は原爆ドームのそばで寄せ書きのような平和へのメッセージをかざした高校生たちと、その向こうに見える80年前に被爆したドームとを対比させている。タイトルにある「僕のメッセージ」の通り、この若者たちが託す平和への思いや原爆のない平和な世界をこれから築いていくという決意が伝わってくる。原爆を投下された8月6日に撮っていることにも熱い思いが現れている。記念写真みたいになりがちだが、夏雲を入れたり、元安川の川べりを入れたりして撮ったことがこの作品のすばらしいところである。
☆審査委員長賞
「来春も二人で」 工藤 美千代(徳島協会)
見るからに微笑ましい写真。何気ない写真だが、見た人を感動させ、心が揺さぶられる。「来年もまた来よう」という二人の気持ちが伝わってくる。そういう瞬間を捉えているところがこの写真の良さである。人物の内面性の捉え方が上手い。シャッターチャンスも良い。二人ともカメラを見ていそうで少し外しているところが自然なリアルさを表現している。
☆特選1
「領空の火花」 藤野 和也(徳島協会)
素晴らしいシャッターチャンスの瞬間を捉えている。タイトルも面白い。今回は鳥の作品が多く、良い作品も多かったが、その中でも群を抜いていた。背景の処理も非常に上手い。二羽の鳥の目にしっかりピントが合っている。モノクロームで表現にしたことが成功の一つだと思う。
☆特選2
「静かな対話」 礒部 雅秀(神奈川協会)
少女が馬の鼻を撫でながら、まるで対話をしているように見える。少女に対する馬の信頼感のようなものが感じられる。少女が手を差し伸べた何気ないほんの一瞬を撮っているというのがこの写真の良さである。少女と馬の向こうには、他にも馬が何頭もいるという情景もよくわかる。敢えて少女の顔を見せずに手を主役にしたのが、成功した。
☆特選3
「厳冬の朝」 坂野 昭八(岐阜協会)
毎回風景写真も多いのだが、その中でも厳しい大自然の中で撮ったこの作品が選ばれた。早朝に朝日が当たりはじめて、冷たい大気から一斉に暖かくなり始めて靄が上がっているという幻想的風景をよく捉えていると思った。
☆入選1
「蒼き狩人」 藤野 佳世(徳島協会)
カワセミのコバルト色に対して背景が枯れ蓮などの茶色のため際立っており、これのシャッターチャンスが成功した。獲物を見つけて飛び込むその瞬間を捉えたということも新鮮さを感じた。背景の処理も良い。真ん中の太い木があることによってこの作品全体がしまって、カワセミが急降下している感じがよく出ている。
☆入選2
「こんにちは」 西内 健(徳島協会)
映画のワンシーンのような作品。泳いでいるエイが「よく来たね」というように手を振って微笑んでいるような瞬間を捉えているのがこの作品の胆である。エイを見ている家族3人がじっとしていて、エイだけが微笑んでいるというのが、ユーモアがあって面白い。まるでエイの方が「こんにちは」と言っているような顔に見える。
☆入選3
「彷徨(カトマンズ)」 佐藤 導直(神奈川協会)
カトマンズの雑踏のど真ん中に犬がいて、人々が家路を急いでいる雰囲気がよく出ている作品である。カトマンズでは犬が自由に歩き回っている。その瞬間をよく撮っていると思う。雨上がりも良かった。
☆入選4
「工業地帯夕景」 近藤 宏和(大阪協会)
煙突があり、送電鉄塔があり、湾がある。幾重にもなっている工業地帯の風景を、少し高いところに登って、撮っている。 よく見ると、鉄塔の上に鳥が止まっていることに気が付いた作者は「あっ」と思い、鉄塔をメインにして撮ったのだろう。それが良かった。
☆入選5
「春光につつまれて」 佐藤 友美(神奈川協会)
まるで一幅の日本画を見ているようである。色使いもフラットにして、「春光」という春の光に包まれたような淡い雰囲気を出したのがこの写真のポイントである。桜ではなく、梅であるため枝ぶりも邪魔にならず、まだ梅の花が咲ききっていないことから背景も綺麗に収まったのも良かった。
☆入選6
「ほがらかな山頂」 守屋 由美(兵庫協会)
雪の積もった寒い山に登って撮った作品。朝で霧氷が張り付いて、向こうに山並みも見える。奈良県にもこんな深い山中があるんだと改めて感じた。とにかくこれはただ居れば撮れるわけではなく、夜明け前に雪山に登り、夜が明けて日が出た瞬間でなければ撮れない作品である。
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