月刊保団連2024年11月号

特集「貧困と排除」

生活保護バッシングが繰り返され、極端な自己責任論が声高に唱えられるなど、公的な支援を受けることに対して厳しい目が向けられている。それは他者を追いつめるだけでなく、ひとたび、こうした不寛容を内面化すると、自分自身が困窮した時に生活保護の利用をためらわせることになり、最後の最後まで自力で踏ん張ったがために、住まいを失った人々も少なくない。支援の介入が遅れると、健康面に問題を抱えている場合は重症化が進むなど、手遅れになるケースもある。一方、こうした排除の構造は、排除ベンチやジェントリフィケーションなど、都市空間においても具体的な形をとって表れており、社会の中に不寛容で、ゆとりのない、息苦しい空気を蔓延させている。誰もが排除されることなく、安心して生活できる社会をどのようにつくっていけばいいのか、困窮した時に、誰もが躊躇することなく助けを求めることができるためには何が必要なのか──。貧困に伴う排除の問題を考える。