ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次

 

政府が社会保障費抑制に新目安―事実上の数値目標
負担増メニューを再設定

全国保険医新聞2018年4月25日号より)

 

 

 安倍晋三首相が議長を務める経済財政諮問会議は4月12日、「経済再生と財政健全化の両立」を強調して社会保障改革の方向性を示し、今後3年程度の社会保障費について「歳出の目安となる水準を明らかにすべき」とした。前後して開かれた財務省・財政制度等審議会では、これまで以上の社会保障費の抑制と患者負担増などを求める提案があった。

 

「目安」はこれまで以上か

 政府は2015年の「骨太方針」で、16年度から18年度までの社会保障費自然増の伸びを1.5兆円程度とする目安を設けていた。診療報酬マイナス改定や患者負担増など医療費削減を中心に毎年の自然増を5000億円程度に抑え、強引に達成された。財務省は診療報酬本体のマイナス改定なども主張しながら「目標厳守」を求めて予算を抑えこんできた。
 17日の財政制度等審議会では経団連が、新たに設定する目安は従来よりさらに大きな抑制となるよう求め、10%超の消費税率も有力な選択肢として言及した。
 今夏にまとまる「骨太方針」で新たな目安が設定されれば、事実上の社会保障費抑制の数値目標として扱われ、マイナス改定や患者負担増への圧力が再び強まる。

 

高齢化を問題視

 11日の財政制度等審議会では財務省は高齢化に伴う医療・介護費の増加と支え手となる若年者の減少などを問題視し、社会保障改革を求めた。
 具体的な対応として、受診時定額負担導入や後期高齢者の窓口負担見直しなど既に「経済・財政再生計画改革工程表」(17年改定)で掲げられた項目と、経済性・費用対効果を踏まえた医薬品・医療技術の保険収載の仕組みなど新たな改革項目を確実に実施するよう強調した。
 受診時定額負担では、軽い症状で受診した場合、定額の追加負担を求める案を示した。諸外国と比較して、少額の外来受診の頻度が高いことを問題視した。かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者の誘導策として定額負担に差を設定することも検討すべきと求めた。
 後期高齢者の窓口負担の見直しは、11日の財政制度等審議会では踏み込んだ論点を示さなかったが、6日の同審議会では、18年度末までに結論を得るとしている。与党・財政構造のあり方検討小委員会では2割負担への引き上げを政府の財政再生目標に反映させる考えが示されている。
 薬剤自己負担の引き上げでは、漢方薬や保湿剤など市販品類似薬の保険給付範囲の見直しや一定額までの全額自己負担などを検討すべきとした。
 この他、急性期病床の削減につながる要件厳格化や、ケアマネジャーによる居宅介護支援への利用者負担導入などを提案した。

 

負担増は逆効果

 高齢化に伴う医療費支出が問題視されるが、日本医師会総合政策研究機構の調査(18年4月2日)では、他の先進国と比較して日本の医療費は高齢化のわりに高いとは言えないと指摘している。保団連が15年に行った調査では、7割を超える医師・歯科医師が後期高齢者の窓口負担増が受診抑制につながると答え、受診抑制や治療中断が重症化につながっているという声も寄せられた。
 高齢者を中心とした負担増は早期発見・早期治療の機会を奪い、結果として医療費増加を招きかねない逆効果の施策だ。

 

地域別の診療報酬活用メニュー例も

 財務省はこの他、医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の活用を求めた。都道府県が具体的に活用可能なメニューを国として示すべきと求め、特定の病床が過剰な地域の入院基本料の引き下げ、医療費の伸びが高く住民の保険料負担が過重な場合の単価調整などを例として示した。
 財政制度等審議会は今後検討をすすめ、5月にも政府への建議をまとめる見通しだ。

以上