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子ども医療費助成制度、中学卒業まで9割に
自治体助成 大幅に広がる

全国保険医新聞2019年9月25日号より)

 

国の制度創設で格差解消を

 厚労省は、2018年4月時点の乳幼児等医療費に対する援助の実施状況を公表した。中卒、高卒まで医療費助成の対象とする自治体が入・通院とも約9割となった。保団連は経済的理由による未受診をなくすため、国による医療費無料制度の創設を求めている。

 

 市区町村の実施状況では、「中学校卒業まで」「高校卒業まで」「大学卒業まで」を助成の対象にしている市区町村を合わせた割合は、通院89.1%、入院95.9%となっている。10年前と比較すると対象年齢拡充が飛躍的に進んでいる(図)。特に「高校卒業まで」を助成している市区町村はここ数年で急速に広がった。また、一部負担金「なし」の自治体は6割超、所得制限「なし」の自治体は8割を超え、制度拡充が確実に進んでいる。これは、地域で子ども医療費 助成制度の拡充の運動を粘り強く進めてきた保険医協会・医会、市民の運動の成果であり、自治体の努力の結果である。
 助成制度の広がりに対し、一部マスコミから「過剰な受診」を招くと批判的報道がされている。しかし、2002年から17年までの15年間に医療費全体は12兆円増加したが、0〜19歳の医療費の増加は0.5兆円。レセプト件数も横ばいで推移している。時間外の受診件数はむしろ減少傾向にあり、「過剰な受診」は起きていない。
 保団連が実施した学校歯科治療調査では、小学校の歯科健診で要歯科受診とされた子どもの約半数が未受診だった。未受診の大きな理由の一つに経済的な事情がある。
 子どもの貧困による健康格差を解消するため、子ども医療費助成制度をより充実させ、経済的理由による受診抑制をなくすことが緊急に求められている。
 すべての子どもたちに、健康に暮らす権利を保障するためにも、子ども医療費無料制度の創設は、国が責任をもって取り組むべきだ。

以上