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診療報酬―保団連の視点

医科:初再診料、入院基本料

全国保険医新聞2020年6月25日号より)

 

 2020年診療報酬改定は02年以来4回連続のマイナス改定となった。本体は0.55%引き上げられたが物価・人件費の上昇に遠く及ばない。コロナ禍で経営逼迫が続く中、地域医療の崩壊を防ぐために診療報酬の適正な評価や引き上げが必要だ。今次改定の不合理要求や視点をシリーズで解説する。

 

 今回改定では初・再診料、入院基本料、特定入院料の本体点数が全く引き上げられなかった。特に初・再診料は2014年、19年の消費税率引き上げに伴う改定以外、近年では引き上げは皆無だ。
 初・再診料は、医師が実施する視診、触診、問診等の基本的な診察方法や、血圧測定等の簡便な検査、その他包括される処置等の費用、こうした基本的な医療の提供に必要不可欠な人件費や設備、光熱費、施設整備費等を総合的に評価するものだ。
 しかし、現状の点数設定ではこれらの費用を適正に評価したものとは言い難い。

 

再診料が長期に据え置き

 特に再診料は02年からのマイナス改定以来、理由もなく一方的に引き下げ、据え置かれてきてきた。
 保団連が12年に実施した医科再診料アンケートでは、1月当たりの再診料収入に対する人件費(看護師及び医療事務員の給与総額)との比較で、外来管理加算を考慮しても、なお算定1回当たり6点以上不足する結果となった。
 近年は、物価・人件費が上昇しており、点数が経費を下回る状況は改善されていない。
 さらに直近では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う受診患者減少が医療機関経営の悪化に拍車をかけており、低すぎる初・再診料の引き上げは文字通り待ったなしだ。
 基本診療料は、医院経営を安定させ、設備投資など医療の質を担保する原資となる。少なくとも物価・人件費の上昇に見合った十分な点数設定が必要だ。
 地域医療崩壊の警鐘が鳴らされて久しい中、各地の保険医が誇りを持って地域医療を担うためにも、基本診療料の大幅引き上げを強く求めていく。

以上

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