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コロナ禍と医療現場

見守りシステムで健康観察

どうたれ内科診療所院長 堂垂 伸治氏

全国保険医新聞2022年2月15日号より)

 

 新型コロナウイルスの患者急増を受け、検査や自宅療養者への対応が急務となる中、通常医療を継続しながら、自宅療養者への健康管理をいかに確保するかが課題となる。千葉県松戸市で外来、在宅医療の傍ら自宅療養者への対応に奔走する堂垂伸治氏(写真)。地域のIT技術者の協力を得て開発したITツールを用いた健康観察の取り組みを聞いた。

 

 ―第5波の教訓は何でしょうか。

 自宅死の多さでしょう。第5波では自宅死が8月だけで全国で250人、東京で112人、千葉でも19人と報道されました。警察医の報告では少なくとも松戸市で5人、柏市でも5人ありました。中には、30歳代の夫婦・子どもの3人世帯で3人ともコロナに感染し、奥さんが自宅で朝、突然死で発見されたケースもありました。
 自宅療養者は全国で最大約13万5,000人となりました。必要な医療を受けられず、自宅“放置”に近く、憲法第25条の生存権が侵害される事態でした。

 ―第6波での自宅療養者への対応は。

 オミクロン株の感染急増に伴い膨大な軽症・中等症患者が発生しています。高齢者や基礎疾患など重症化リスクを有する方をトリアージし、治療につなげることがとりわけ重要となりました。
 第5波までは、発熱外来等で感染を検出した医療機関・医師は保健所に申告すれば手を離れましたが、感染判明後の病状把握を、保健所、地域中核病院、現場の診療所・クリニックが連携して対応するのが本来の姿です。
 第5波の教訓から、▽隔離用の宿泊施設や中間的な集団管理施設の確保▽現状の限られた医療資源の連携推進と効率的活用▽特に、現場で緻密な情報交換可能な「連携ツール・見守りシステム」などITの活用―が必要となります。健康観察や病状管理は臨床経験が豊富な現場の医療機関が行うことが最適です。
 千葉県では保健所と感染者を結びつけるシステム「イマビス」が用意されましたが、入力作業も煩雑で、情報連携の枠組みに地域の医療機関が入っていません。

 ―見守りシステムでどのように通常診療と健康観察を両立させましたか。

 グーグルフォームを活用したコロナ感染者共同見守りシステム(DUU-SYS)を活用し、通常診療と両立が可能となりました。
 第5波の後半からIT技術者の指導の下、感染者と共同見守りシステム(DUU-SYS)を開発し、当院単独で運用してきました(図)。システムを利用した健康観察の手順は次の通りです。
 @感染を検出した医師が直接その場で説明書を渡す
 A陽性患者が当該医療機関に「空メール」を送る。直ちに「質問メール」を送り「回答」を返信してもらう
 B診断直後から患者の健康観察に必要な情報が入手できる。
 また、回答結果はエクセル形式で表示できます。
 本システムは医療機関で情報共有可能です。グーグルフォームやスプレッドシートを使用した汎用システムですので、導入費用は不要です。
 患者名をカルテ番号などで表示することで、セキュリティー対策もできます。毎日の健康観察は患者さん自身が入力し、こちらは閲覧するだけなので医療機関側の負担が少ないのが最大の利点です。
 病状が心配な時には回答結果を元に医師や看護師が別途直接電話連絡し、患者さんに安心感や方針を伝えることができます(※)。

 ―今、医療者に求められることは何でしょう。

 この2年間を振り返ると、私たちは膨大な情報を判断し選択し実行するという極めて多忙な日々を過ごしてきました。
 しかし、コロナに感染し自宅で困惑・不安・孤独そして恐怖に苛まれている患者さんに想いをはせると、医療人は今一度自らを鼓舞すべきではないでしょうか。少なくとも自宅死を再発させてはいけない。既存の医療資源が連携して「総動員態勢」をとるよう創意・工夫が必要です。

 ※導入希望の先生はdoutare@apricot.ocn.ne.jpまでご連絡ください


(図)googleドライブを活用して得た回答結果(スプレッドシート)
コロナ患者の質問・入力画面(左下)と回答結果一覧(上)。

以上

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