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DPCの民間病院への拡大に強く反対する

2004年2月4日

全国保険医団体連合会
副会長 哲翁 昭邦

 中医協は、DPC(急性期入院医療の包括評価)の民間病院への拡大をめぐり、次回改定で民間病院に拡大を求める支払い側と、DPCのような包括評価では「粗診粗療」が起きるという見方もあり患者への影響などを十分検証する必要があると反対する診療側の意見が激しく対立、中医協の審議がストップしている。

 全国保険医団体連合会は、2004年度基本要求で、「DPCやRUGLなど入院医療に対する包括点数の拡大、導入をやめること」を掲げていることころであるが、DPCの民間病院の拡大に、あらためて反対を表明するものである。

 そもそも、診療報酬の包括払いは、一人一人状態が違う患者さんを同じ点数で評価することから、過不足が生じる制度である。さらに、包括項目の範囲が広ければ、原価を反映しにくくなるという問題を生じる。

 しかも、診断群別支払い方式を導入しているアメリカでは、「入院を継続する必要があっても、退院を余儀なくされる」との指摘や、「長期入院をさせている病院の経営困難」が問題になっている。

 また、DPCでは、「入院日数の25パーセントタイル値以内」までは平均点数の115パーセントが算定できるが、「平均在院日数」を超えた場合は平均点数の8割程度にしかならない。このため、医療機関は入院期間を縮小し、その結果、平均在院日数はさらに短くなってしまう。

 なお、特定機能病院にDPCを導入してから1年も経っておらず、DPC導入による調査・分析は全く不十分である。しかも、「患者にどのような影響があるのか」との視点での調査・分析は行われていない。このような状況でDPCを民間病院へ拡大することは、決して認められない。

 DPCは、厚生労働省の担当者が「包括評価は、検査回数や在院日数などが『最適化』に向かうためのツール」と述べているように、基本的に医療費抑制を目的として導入されたものである。導入当初は誘導策として一定の点数設定がされているが、定着すれば、点数抑制がされる危険性が高い。

 本会は、「医療費抑制を目的とした定額・包括払いには反対」の立場を表明してきており、その観点からDPC導入医療機関のこれ以上の拡大に反対するものである。よって診療側が中医協においてDPC拡大に最後まで反対することを支持するものである。

以上