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新高齢者医療制度計画ーー年齢によって受ける医療に格差



 厚生労働省は、2008年4月から開始する予定の75歳以上の後期高齢者の保険給付は「別建て」の診療報酬体系で行うとし、本格的な定額制導入方針が示されています。対象は、原則75歳以上、65歳〜74歳で障害認定1〜3級を受けた人も対象となりますが、生活保護世帯に属する人は対象から外れます。

 厚生労働省は、具体的には、「在宅における日常的な医学管理から看取りまで常時一貫した対応が可能な」主治医の普及などを中心にした、後期高齢者の「心身の特性にふさわしい診療報酬」体系をつくるとしています。『朝日新聞』(12月29日)の報道によれば、「患者は高血圧や心臓病など、特定の慢性疾患の医療機関をあらかじめ選ぶ。そこで一定回数以上受診すると、それ以上は何回受診しても医療機関が受け取る報酬は定額とする方法などが検討される見込み」、『日経新聞』(1月9日)では、後期高齢者を含め、「報酬の算定単位を入院1回当たりに切り替え、入院がどれだけ長引いても医療費は病気ごとの定額とする新制度を導入したい考え」などと、報じられています。

 また、国保中央会も昨年12月、後期高齢者については、原則として診療所の中からかかりつけ医を選び、「医療機関に対するフリーアクセスをある程度制限」すること、「かかりつけ医」の報酬体系として、「登録された後期高齢者の人数に応じた定額払い報酬」を導入することなどを提言しています。

 こうした動きに対し、腎臓病患者の組織である全国腎臓病協議会(会員数10万4千人)は、「後期高齢者といえども全ての者が終末期医療の対象ではない」として、生命維持のための治療である透析医療について、年齢にかかわりなく同一の診療報酬体系で、十分な診療報酬点数を保障するよう要請をしています。これまでどおりの医療を受けられなくなるのではないか、との患者の不安は当然です。75歳という暦年齢で機械的な線引きを行って、医療機関へのフリーアクセスを制限したり、粗診粗療に陥る危険があるとの指摘もある定額払いを導入することは、高齢者差別のそしりを免れません。