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かかりつけ医、在宅 争点
―本体プラスは薬価財源活用で―

(全国保険医新聞2015年9月15日号より)

 

 中医協では次期診療報酬改定に向けた議論が進んでいる。基本的な方向は、地域医療構想の具体化に向けた誘導だ。政府の専門調査会が今年6月、2025年の必要病床数を推計。現在の135万床から20万床近く削減し、患者を在宅に押し出す見通しを示した。診療報酬の改定に向けて、病床機能の再編と削減に対応する形で外来、在宅のあり方が議論されそうだ(解説はこちら)。

■定額負担で患者誘導

 外来の論点は「かかりつけ医」機能の強化だ。患者の受診に新たな定額負担を設けることなどを通じてフリーアクセスに制限を掛け、受診をかかりつけ医に誘導する考えだ。
 「骨太の方針2015」では、かかりつけ医を普及する観点から診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討する方向が示された。厚労大臣主催の懇談会がまとめた提言「保健医療2035」では、かかりつけ医がいる医療機関と他の医療機関とで受診の際の費用負担に差を設けることが提案されている。
 慢性疾患を持つ高齢者が増加する中、かかりつけ医の重要性が増す一方、政府は一貫して医療費抑制の議論の中に位置付けてきた。地域包括診療料・加算や総合診療専門医の運用も注視が必要だ。医療費抑制の手段としてではなく、フリーアクセスを守りながら、医療機関経営の安定にも寄与する形で、かかりつけ医機能の評価を求めていくことが重要だ。 

■訪問減算は緩和方針

 在宅は重症、重度の患者に特化させる。
 在宅での計画的な医学管理を包括的に評価する在宅時医学総合管理料等に、患者の疾患・状態に応じた評価を導入する方向だ。今後、医療区分、要介護度、日常生活自立度なども参考に区分設定が議論される見通しだ。
 在医総管等は14年改定で在宅医療の不適切事例への対処として、同一日に同じ建物内で複数の患者を訪問した際の大幅な減算が行われた。これについては、一定緩和される見通しだ。

■医療改善の財源を

 調剤関連点数は大幅に切り込む。残薬、重複投薬などの管理に加え、在宅対応も含めた厳しい条件で「かかりつけ薬局」を評価する一方、調剤報酬が収入の中心のいわゆる門前薬局等の報酬は引き下げる見通しだ。
 政府は薬価引き下げ分の技術料への振り替えを否定し、技術料本体もマイナスにする方針だ。薬価引き下げによる財源は5000億円を超えることが予想される。かかりつけ医の評価、訪問診療の減算撤回、歯科診療報酬の抜本引き上げの財源として活用させる働き掛けが重要だ。

以上