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医療事故調査制度のポイントB
―院内事故調査結果の報告―

(全国保険医新聞2015年9月25日号より)

 

 医療事故調査制度が10月から実施される。法令や通知(平成27年5月8日医政発0508第1号)をもとにポイントを解説する。今回は、院内事故調査結果の報告について。

 医療機関で発生した死亡事例を、管理者が「医療事故」と判断した場合には、まず遺族への説明と医療事故調査・支援センターへの「報告」(図中@)を行ったうえ、院内事故調査(図中A)を実施する(以上ポイント@ポイントA)。
 院内事故調査を終えたら、医療機関の管理者は遺族に説明した上で、遅滞なく結果をセンターに報告する(図のB)。医療事故調査・支援センターとしては日本医療安全調査機構が指定されている(8月17日厚労省公示)。

医療事故調査制度の概要

医療事故調査制度の概要

■遺族への説明は管理者が適切な方法を判断

 医療機関は遺族に、センターに報告する内容を説明する。説明の方法は、(ア)「口頭(説明内容をカルテに記載)」、(イ)「書面(報告書または説明用の資料)」、(ウ)「口頭・書面の双方」のいずれか適切な方法による。必ずしもセンターに報告する報告書そのものの交付である必要はない。いずれの方法によるかは管理者が判断するが、通知では「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」とされている。

■匿名化だけでなく非識別化も必要

 センターへの報告は書面またはウェブシステムで行う。報告事項・報告方法は省令・通知で定められている。報告書冒頭には「個人の責任を追及するためのものではない」旨記載する。従事者等の関係者は匿名とするだけでなく、他の情報との照合によっても識別できないように加工(非識別化)する必要がある。従事者や遺族から報告書の内容に意見があるときは、その旨を記載する。再発防止策については、報告書の記載事項とはされていない。
 管理者から報告を受けたセンターは、他の個別事項と併せて事例を集積、分析して(図のC)、一般化・普遍化した結果を管理者に報告する。

以上