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空しく響く「安心・社会保障」
―「新三本の矢」で理事会声明―

(全国保険医新聞2015年10月15日号より)

 

 安倍晋三首相は安保関連法成立直後の9月24日の記者会見で、「アベノミクスは第2ステージへと移る」、「新三本の矢を放つ」と表明した。保団連は10月4日、実現性、実効性が疑問であるばかりか、安保関連法の強行採決で落ち込んだ支持率の回復を狙ったものとして批判する理事会声明を発表した。

 声明では、第一の矢である「強い経済」については、2020年度までにGDP600兆円を達成するとしているが、そのためにはバブル経済期並みの年率3%以上の成長率が必要と指摘。第二の矢である「子育て支援」は、既に着手済みの政策を掲げるに過ぎないとした。
 第三の矢である「安心につながる社会保障」として安倍首相は、「介護離職ゼロ」、特養増設による待機者の解消を打ち出している。声明では患者・利用者を地域に追い出す在宅偏重の政策との整合性が取れておらず、介護の人手不足解消の手立ても示されていないと批判。「骨太方針2015」では医療・介護の大幅抑制策を掲げているのであり、「安心」は空しく響くのみだとした。
 アベノミクスでは企業利益の拡大によるデフレ脱却を目指していたが、実際には実質賃金が低迷し、貧困と格差の拡大を深刻にした。声明では、「新三本の矢」はアベノミクスの破綻を取り繕うためのものにすぎないとし、今、政治に求められるのは、「人気取り」のための場当たり的な政策ではなく、「骨太方針2015」の具体化を止め、社会保障費を拡充する政策に抜本的に転換することと強調した。 

以上