【中医協ひろい読み】湿布薬の処方枚数制限
(全国保険医新聞2016年1月25日号より)
2016年診療報酬改定をめぐり、湿布薬の処方枚数を制限する点などが中医協で検討されている。
一度の処方は原則70枚以内
1月13日の総会で取りまとめられた「議論の整理(現時点の骨子)」では、「一度に多量に処方される湿布薬が一定程度」あるなどとして、「一定枚数」を超えた処方は原則処方料・薬剤料等を算定不可とする。ただし、医師が「疾患の特性等」で必要と判断し、「やむを得ず一度に一定枚数以上投薬する場合」は、その理由を処方せん・レセプトに記載するとしている。また、処方時に際しては具体的な用量(何日分)等も記載するよう求めた。
昨年12月の総会では、厚労省は1回の処方で湿布薬70枚(10袋)超の処方せんが8.9%あるとして、1回の処方上限は70枚前後を示唆している。健保連委員も「1回の処方上限は70枚が妥当」などと主張している。
12月11日中医協総会「総-1:個別事項(その6:技術的事項等)について」
P120「湿布薬の処方の状況@」
中医協資料では、新潟、北海道、秋田、福井で15%超の状況が示されているが、医療過疎・寒冷地等の地域事情も考えられる。
12月11日中医協総会「総-1:個別事項(その6:技術的事項等)について」
P121「湿布薬の処方の状況A」
医療界の声で保険外しは押し返す
この間の保険医協会や医療団体の声や運動もあり、健保連が提案していた第1世代(炎症初期に皮膚の温熱・冷却を主目的)の湿布薬を保険から外すことは示されなかった。しかし、財務省や規制改革会議を含め、市販品類似薬の保険外しやスイッチOTC化の推進を求める声は依然として強い。
大幅な給付制限や保険外しとなれば、経済的理由による服用中断や誤った自己判断による副作用・症状悪化等が懸念される。消費者庁も昨年4月、13年度までの5年間で市販薬服用による副作用が1,225件、死亡も15例生じたとしている(2015年4月8日消費者庁ニュースリリースより)。
処方に際して、医師は余病等含め患者の全身状態の診立てをしている。軽度医療の給付制限はプライマリケアの根幹に関わる問題である。
以上