子ども医療費助成減額の完全撤廃を
― 国保国庫補助 ペナルティ ―
(全国保険医新聞2016年1月25日号より)
昨年12月1日、塩崎恭久厚生労働大臣は定例記者会見で、自治体が独自に子ども医療費を助成した際に国民健康保険国庫補助金が減額されるペナルティーについて、厚生労働省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」において今春をめどに見直しの結論を出すと述べた。
全ての自治体で実施
現在、子どもの医療費自己負担額について、対象年齢、支給方法等の違いはあるが、全ての自治体で助成を実施している(子ども医療全国ネットを参照)。
国は医療費助成によって安易な受診が増大するとして、現物給付で助成を行う自治体に対して国民健康保険国庫補助金を減額する措置を講じている(同「療養費等国庫負担金減額調整とは」参照)。
「過剰受診なりにくい」「治癒率上がった」
しかし中学生までの子ども医療費を無料にした群馬県の健康福祉部長は県議会で、「受診に付き添いが必要で、過剰な受診にはなりにくい」と答弁している(平成24年5月定例会。6月5日本会議・一般質問での片野健康福祉部長の関係答弁)。また、さまざまな取り組みによって子どもの時間外受診はむしろ減少傾向にあるとした。さらに「(対象年齢の拡大前と比べて)小中学生の虫歯の治癒率が上がっており、子どものときから歯を健康な状態に保つことは生涯にわたる健康にとってとても大切」と述べた(同答弁)。
仮に医療費助成によって受診が増大したとすれば、それは窓口負担によって本来必要な受診が抑制されていたということに他ならない。
厚生労働省は昨年12月15日に、「地方創生」交付金を医療費助成に充てる場合はペナルティーを科さないと明記した通知(平成27年12月15日保国発1215第1号)を出したが、ペナルティーそのものが廃止されたわけではない。今回の大臣発言や通知はペナルティー見直しに向けた一歩だ。
全国知事会、市長会も廃止求める
全国知事会や市長会、町村会はペナルティー廃止を要求している。保団連もペナルティーの廃止と国による中学卒業までの窓口負担免除を求めている。
以上