療養病床廃止13万7000床 受け皿 検討会で方針
施設系サービス、居住スペース新2類型
(全国保険医新聞2016年2月5日号より)
介護療養と医療療養(25対1)病床の約13万7000床は2018年3月末に廃止が予定されている。また、地域医療構想の策定に際して国のガイドラインでは、都道府県に療養病床の患者数の削減を求めている。病床廃止等に伴う「受け皿」を検討してきた「療養病床の在り方等に関する検討会」は1月28日、受け皿とされる「新たな選択肢の整理案」について取りまとめた。
医療機関が移行先判断
新たな類型は長期療養にふさわしいプライバシーの尊重など「住まい」の機能を強化しつつ、医療提供形態に応じて、「医療機能を内包した施設系サービス」と「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」の2類型が柱となる(右表)。前者は施設内に医師や看護職員が常駐する特養ホームのイメージ、後者は住宅と病院等が同じ敷地にあるイメージだ。
移行先については、医療機関が、患者像や経営状況等を勘案して、老健等の既存類型や新たな類型の中から選ぶ形とする。今後、個別の制度設計等について社保審の医療部会・介護保険部会等で議論を進める。
低所得者の配慮に懸念
整理案では、「利用者にとって負担可能なもの」である点が記されたが、制度の詳細は社保審の議論に委ねられている。現行の低所得者への食費・居住費補助(補足給付)の取り扱いについて、厚労省は「経過措置や可能性を考える必要がある」として、存続は明言していない。「住まい」の費用は原則自己負担、「補足給付は正論ではない」などの意見も出ており、現状よりも高めの利用者負担が設定される事態も懸念される。日医委員は、「今後、高所得者用の施設はいくらでもできるが、低所得者の受け皿の整備が必要」と繰り返し求めている。
重症・重度者の行き場は
新類型は、医療区分1を中心とした利用者像を想定している。しかし、現在でも、医療区分2・3の患者が医療療養(25対1)で56.4%、介護療養で20%前後いることが推測される(1月28日資料より)。仮に、これらの患者の大半を医療療養(20対1)で対応する場合、看護職員の確保が必要となるが、国は「地域医療構想との整合性」を確保するなどとして、医療従事者の供給を抑制する方向で検討している。重症・重度者の行き場も懸念される。
検討会で、日医と四病協は連名で、移行先となり得る選択肢の拡大は必要とする一方、あくまで、現行制度の存続を「第一選択肢」として検討すべきと強調している。行き場を失う療養患者が出ないよう、現行制度の存続も視野に入れた慎重な議論が求められる。
以上