【2016年度診療報酬改定】同一建物等の減算緩和
―保団連の要望を反映―
(全国保険医新聞2016年2月25日号より)
2016年度診療報酬改定は、地域包括ケアシステムの構築に向け、入院患者の絞り込み、在宅・外来、薬局で常時対応等を求める「かかりつけ評価」をさらに進めた。わずかな本体財源の下、全体の底上げではなく、重点分野が手厚く評価され、不十分ながら同一建物減算や入院中の他院受診減算の緩和など、全国保険医団体連合会が繰り返し要望してきた内容も含まれている。署名や国会要請などの取り組みの成果といえる。
「同一日」撤廃
在宅では、かかりつけ機能を評価する在宅時医学総合管理料(在医総管)等に、重症患者と月1回訪問の区分が新設された。また、同じ建物では、同一日に診療した人数ではなく医学管理を実施する人数による評価に変更される。
前回改定では、在医総管等に同一建物居住者への同一日の複数訪問の報酬が最大約75%カットされ、真摯に在宅医療に取り組む医療機関に打撃となっていた。保団連は前回改定直後から厚労省要請を実施。その後、実態調査や会員署名に取り組み、国会要請などで減算撤廃を繰り返し求めてきた。
今回の改定で、評価の変更により減算幅が緩和された。例えば、同一建物の重症以外の患者2〜9人を月2回診療する場合、現行の「同一建物居住者」による算定点数の2倍程度に引き上げられる。
さらに訪問診療料も、特定施設か否かを問わず、同一建物・それ以外の2区分となり、同一建物で「特定施設等以外」の103点は「同一建物」に吸収され203点に引き上げられた。
入院中の他院受診の減算緩和
入院中の他院受診時の入院料等減算は大幅に緩和される。減額幅が、出来高病棟で30%から10%に、特定入院料等では70%、30%から各40%、10%に縮小される。特定入院料等のうち精神科病院と有床診等では、55%から20%へと大幅な緩和だ。保団連は、入院中の他院受診の減算は、入院患者の専門的な医療を制限するとして、撤廃を強く求めてきた。
また、一部の有床診で、新設の「在宅復帰機能強化加算」等を算定する場合、在宅復帰率の計算対象となる。急性期病院等からの患者受け入れ促進による、有床診の経営改善が期待される。
維持期リハ、2年再延長
要介護被保険者等の維持期リハビリテーションは、医療保険算定が18年3月まで延長される。リハビリは専門職による医療行為であり、患者の病態に応じて細やかな対応をするためにも、保団連は維持期リハを医療保険に残すよう主張してきた。
この他にも今次改定では一定の改善が見られた項目がある(表)。保団連は今後の告示・通知等を見つつ、引き続き診療報酬改善を求めていく。
以上