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保団連の要望が反映
―2016年度診療報酬改定で改善点―

全国保険医新聞2016年3月5日号より)

 

 2016年度診療報酬改定では、保団連の要望の反映も含め、改善・是正等が見られる。診療報酬の引き上げや改善を求める署名や国会要請などの取り組みの成果だ。

―医科―

■「同一日」撤廃、減算緩和

 在宅では、在宅時医学管理総合料等において、同じ建物では、同一日に診療した人数ではなく、医学管理を実施する人数による評価に変更される。同一日の複数訪問の減算が緩和された。他方、患者の重症度と訪問回数によって基本報酬に格差が持ち込まれた。月2回・1回の患者区分などが注視される。
訪問診療料は、特定施設か否かを問わず、同一建物・それ以外の2区分のみとなり、同一建物の「特定施設等以外」の103点は「同一建物」に吸収され、203点になる。

■入院中他院受診の減算緩和

 入院患者の他院受診での入院料等減算が全般的に緩められた。保団連では繰り返し撤廃を求めてきた。
 一部の有床診で、新設の「有床診療所在宅復帰機能強化加算」等を算定する場合、在宅復帰率の計算対象となる。有床診の経営改善が期待される。

■採血・注射料引上げ

 検査では、血液採取(静脈)が20点から25点に、6歳未満の乳幼児の加算が16点から20点に引き上げられた。皮内、皮下及び筋肉内注射が18点から20点に引き上げられた。静脈内注射も28点から30点に、6歳未満の乳幼児の加算が42点から45点に引き上げられた。保団連は汎用点数の抜本的な引上げを引き続き求めていく。

歯科

■歯科疾患管理料の運用改善

 歯科では、歯科疾患管理料の算定要件から文書提供が外れ、管理計画の策定と説明に変更された。点数は100点。歯科疾患の管理に係る文書を提供した場合は10点加算となる。

■訪問の時間要件緩和

 在宅医療でも、歯科訪問診療1における時間要件の緩和など、保団連の要求が反映された項目が多い。

2016年 診療報酬改定で改善された主な点数・項目

医 科(診療所関連)


一般名処方加算で、後発品がある全ての医薬品について一般名処方した場合に、「加算1」(3点)として評価。現加算は「加算2」となり2点で変わらず。

 

▽院内処方の診療所に、「外来後発医薬品使用体制加算」(加算1:4点、加算2:3点)が新設


▽在宅時医学総合管理料等に、患者の疾患・状態に応じた評価等を導入。

 @重症患者、月2回以上訪問、月1回以上訪問に区分

A

同一建物・同一日の訪問人数から、当該建築物内で医学管理を実施している人数に評価を変更。

▽在医総管等における同一居住者に係る減算幅が緩和。

訪問診療料は、同一建物居住者・それ以外の2区分に。同一建物で「特定施設等以外」の区分が「同一建物」に吸収され、103点から203点に引き上げ。

▽往診料において休日を新たに評価。

▽医療機関からの訪問看護指導料等の引き上げ(最大で+25点)。

在宅患者訪問薬剤管理指導料において、薬剤師1人つき1日5回から週40回に算定制限が緩和(医療機関の薬剤師も同様に制限緩和)。

▽在宅患者訪問点滴注射指導管理料が100点(+40点)に。

在宅自己注射指導管理料で、同一患者の異なる疾患に対して在宅自己注射指導管理を行っている場合に、複数医療機関での算定が認められる。

▽在宅患者訪問栄養食事指導料で算定要件を緩和(調理の実技に限定しない)。




▽要介護被保険者等の維持期リハビリテーションの医療保険算定が18年3月まで認められる。

▽運動器リハビリテーション料(T)が185点(+5点)に。




入院中の他院受診での減算幅が大幅に緩和。出来高病棟で30%から10%に。特定入院料等で、他院で行われた診療が入院料の包括範囲内の場合で70%→40%に、包括範囲外の場合で30%→10%に。特定入院料等で、精神科病院・有床診等の場合は55%→20%に。

有床診(入院基本料1・2・3又は療養病床を算定)が、新設の「有床診療所在宅復帰機能強化加算」等を算定する場合、7対1算定病床等に課せられる在宅復帰率の計算対象に。


▽血液採取(1日、静脈)が25点(+5点)に、6歳未満の乳幼児の加算が20点(+4点)に。

▽細菌培養同定検査の一部について、各20点引き上げ。


▽皮内、皮下及び筋肉内注射(1回)が、20点(+2点)に。

▽静脈内注射(1回)が30点(+2点)に、6歳未満の乳幼児の加算が45点(+3点)に。

▽点滴注射(1日)が各2〜3点引き上げ、6歳未満の乳幼児の加算が45点(+3点)に。


▽創傷処置は100cu以上について各5点引き上げ。100cu未満は据え置き。

▽爪甲除去(麻酔を要しないもの)が、60点(+15点)に。


緊急帝王切開が22,200点(+2,160点)と2014年改定前の22,160点の水準に。選択帝王切開は20,140点に据え置き。

指定難病について報酬評価上の手当(難病外来指導管理料、療養病棟の医療区分2等で対象患者を拡大)。

外来・入院・在宅患者訪問栄養食事指導料において、がん、摂食・嚥下機能低下、低栄養の対象患者に対象拡大。

以上