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事故調見直し6月まで
―医師法21条検討も―

全国保険医新聞2016年3月25日号より)

 

 昨年10月から実施された医療事故調査制度は、今年6月までに見直しが行われる。制度の実施状況を勘案し、医師法21条や医療事故報告、第三者機関のあり方などを見直す。根拠法である医療・介護総合法(2014年6月成立)の附則に定められている。

表 診療科別の事故報告件数 日本医療安全調査機構によれば、医療機関からの医療事故報告件数は、2月末までの累計で140件。病院・診療所別では、病院126件、診療所14件となっている。診療科別では表の通り。
 現状のペースでは、医療事故報告は年間300〜400件と見込まれる。制度発足前には、厚労省などで年間の医療事故報告件数は1,200〜2,000件と想定されていた。これとの比較で報告数が少ないと評価する向きもある。
 しかし、同制度で報告の対象となる「医療事故」は、「医療に起因する死亡」で、かつ「管理者が予期しなかったもの」であり、この定義に沿った医療事故発生件数が試算されているわけではないとの指摘もある(本紙2015年12月25日号・大磯義一郎浜松医大教授)。
 制度実施後の実施状況をどう評価するかは、今後の見直しに影響する。報告件数の評価はもとより、医療現場への影響も含め、実態に即した慎重な検討が望まれる。

 見直しでは、医師法21条についても検討が行われる。
 同条では、医師が死体や死産児を検案して異状があると認めたときは、警察に届出義務がある。罰則もある。同条をめぐっては拡大解釈が行われ、医療機関に混乱を及ぼしてきた経緯がある。

最高裁判決に即し定着図れ

 同条の解釈については04年の最高裁判所の判決を受けて、厚労省が「死体の外表を見て検案し、異状を認めた場合に、警察署に届け出る」「検案の結果、異状がないと認めた場合には届出の必要はない」との認識を示している。この認識に即して、医療現場での定着を図るべきである。
 日本医師会は2月24日、同条の改正案を公表した。届出対象を「犯罪と関係があると認めたとき」と限定するとともに、罰則規定(現行法で罰金50万円)を削除するとしている。

以上