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【医科】2016年診療報酬改定@
―”減薬”誘導と給付制限―

全国保険医新聞2016年4月5日号より)

 

 今年診療報酬改定は、初・再診料等を据え置き、「減薬」、後発品使用への加算評価による誘導、湿布薬の処方制限など薬剤費抑制を通じて医療費抑制が図られる。今号では外来の投薬を中心に考える。

認知症患者の投薬管理プラス10点

 認知症患者のかかりつけ医を推進するとして、認知症地域包括診療加算(30点)などが新設される。認知症と他の1疾患以上を持つ患者が対象だが、1処方につき内服薬5種類以下、うち向精神薬が3種類以下と制限される。その他、地域包括診療料・同加算の算定要件を満たすことが必要となる。服薬管理能力が低下する認知症患者について、地域包括診療加算(20点)に10点上乗せして投薬管理を評価する形である。

2剤以上の減少を評価

 外来・在宅の患者では、6種類以上の内服薬処方(他院による処方含め)について処方内容を評価・調整して2種類以上減らした場合、薬剤総合評価調整管理料(月1回・250点)として評価する。処方調整に際して、別の医療機関や薬局に照会・情報提供した場合は、連携管理加算(50点)が加算される。
 複数通院の患者で2種類以上減らした場合、管理料の算定は1カ所とされる。連携して調整する以上、併算定は認められるべきである。減薬数には現れないきめ細かな取り組みについての評価も必要である。

薬局での残薬確認時の対応指示

 医療機関と薬局の連携を通じた残薬解消として、処方せん様式に薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応欄が設けられる。当該欄に医師のチェックがある場合、薬局で残薬を確認した際に、医療機関に@疑義照会した上で調剤A情報提供のいずれかを行う。厚労省は、薬局との事前の取り決めを通じて、残薬調整を円滑に進めてほしいとしている。

湿布薬に処方制限

 湿布薬(貼付剤のうち鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤)に関して、外来・在宅の患者について原則1処方につき70枚以下に制限される。ただし、医師が「疾患の特性等により必要性がある」と判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合は「その理由を処方せん及びレセプトに記載することで算定可能」(告示)としている。
 他方、厚労省は、3月4日の診療報酬改定説明会では、審査支払機関の査定は別とも述べており、具体的な運用の動向が注視される。財務省等からOTC保険外しの要望も依然強く注意が必要だ。
 湿布処方では、処方枚数に関わらず、処方せん・レセプトに1日用量又は投与日数も併せた記載が求められる。
 また、30日超の投薬に際しては、患者の病状・服薬能力の確認、急変時の対応方法や連絡先の周知が求められる。これらを満たさない場合、原則、30日以内の再診、他院紹介、分割調剤のいずれかを行う。投薬期間の緩和の流れに一定の歯止めがかけられることとなる。

後発品は院内処方 診療所に加算

 後発品関連では、一般名処方加算で後発品がある全ての医薬品で一般名処方した場合を加算1(3点)として新たに評価する。現加算は加算2として2点で据え置かれる。院内処方の診療所には、外来後発品使用体制加算(4点、3点)を新設するなど、加算での促進を図る。
 他方、後発品を銘柄指定(変更不可)で処方する場合、処方せんの「備考」欄に理由記載が求められる。医師が患者の体調等を診て銘柄を指定している以上、さらなる事務負担を求めることは問題である。(続く)

以上