マイナンバー提訴広がる
―「憲法違反」と全国8地裁で―
(全国保険医新聞2016年4月15日号より)
「マイナンバー」制度は、1月の本格運用開始から3カ月を経ても、約28万件(3.7%)が通知カード未交付で(3月18日現在)、個人番号カード交付システムのトラブル続発など混乱が続いている。
こうした中、マイナンバー違憲訴訟が全国に広がっている。
3月24日には横浜、名古屋、福岡の各地方裁判所で提えが訴起された。
昨年12月の5カ所(仙台、東京、新潟、金沢、大阪)での提訴とあわせ、原告数は約500人に上る。原告に参加する協会役員・会員も多い。最大規模(原告201人)の横浜訴訟には神奈川県保険医協会の役員・会員ら20人が原告に名を連ねた。
訴えでは、「マイナンバー制度」は、憲法が保障するプライバシー権などを侵害するなどとし、国に対して「マイナンバー」の利用停止、削除や損害賠償を求めている。
凍結・中止を
政府は、マイナンバー制度の利用範囲を医療にも拡大し、医療情報の収集、利活用促進と保険給付削減に利用することを狙っている。保団連はこうした狙いを阻止するためにも、憲法違反の「マイナンバー制度」の凍結・中止を求めている。
マイナンバー提出しなくても不利益はありません
4月の年度替わりで、医療機関が学校医等の公務の受託などに際して提出する新規・更新の書類に、マイナンバー(個人番号)の記載・提供を求められることが多くなっています。
それに伴い、「必ず提供しなければならないのか」、「個人番号を書かないと書類は受理されないのか」、「報酬を受け取れないのか」という問い合わせが多く寄せられています。
番号の提供について法令では、事業者に「協力するよう努めるものとする」努力規定はありますが、個人にマイナンバーの提供義務を負わせる規定はありません。提供を断ったとしても不利益は課されず、報酬が支払われないことはありません。
国税庁のFAQでは、事業者が番号の提供を受けられない場合、事業者は「提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反ではないことを明確に」すればよく、「記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはない」としています。提出・記載がなくても問題なく関係手続きは進みます。税務調査の対象となることもありません。
なお、関係機関との間で、マイナンバーの提出をしなかったことで不利益を被った方は保団連、協会・医会まで情報をお寄せください。
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以上