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【熊本地震】医療機関の被害甚大
―窓口負担免除・猶予周知も不徹底―

全国保険医新聞2016年5月5・15日号より)

 

 4月14日夜から発生した熊本地震で、全国保険医団体連合会の住江憲勇会長らは熊本県保険医協会の支援のため4月24日から28日にかけて被災地に赴き、会員医療機関の被害状況と必要な支援の把握、被災者の窓口負担徴収免除・猶予の取り扱い周知などを行った。現在も保険医協会・医会の協力も得ながら支援活動が続いている。(関連「」。「木村孝文・熊本協会会長のコメント」、「橋本洋一郎・同副会長のインタビュー」「被災医療機関訪問の詳報」)。

 住江会長らは揺れの激しかった地域を中心に8市町村の会員医療機関74件を訪問。被害が甚大な益城町などでは、水道、ガスなどのライフラインの供給が断たれ、建物や医療機器の損壊、敷地の地盤沈下の影響などによってほとんどの診療所が一時診療中止に追い込まれた。再開のめどが立たない診療所も少なくない。とりわけ歯科は断水の影響でほとんどが本格的な診察の再開ができない状況だ。また、損壊した医療機器や建物の修繕などの費用が高額になるケースもあり、再開を妨げることが懸念される。

■被災者に医療を、かかりつけの管理も重要

 こうした中、被災直後から患者への対応に尽力した医療機関も多い。
益城町の永田内科医院では入口の柱が地震により大きく損傷し、建物倒壊の恐れも指摘され立ち入り禁止となったが、診療所の裏口を使って処方箋の対応を続けた。院長の永田美与氏は「高血圧や糖尿病の患者さんは継続的な管理が必要。被災の混乱で薬をなくしてしまう人も多い」と話した。益城整形外科医院でも建物周囲の地盤沈下の影響などにより建物への立ち入りが危険とされた。院長の山本正昭氏は被災直後から診療所裏手の駐車場で応急の対応を続けた。
熊本協会副会長で熊本市民病院の主席診療部長を務める橋本洋一郎氏は、今後の被災者への医療は生活習慣病の重症化予防が重要と話し、「かかりつけの医療機関で、継続的な管理をしてもらうことが大切」と指摘した。

■患者負担取り扱い周知が不徹底

 被災者の窓口負担徴収免除・猶予の周知も課題だ。訪問した医療機関の多くで情報が行き届いていない。益城町の清水眼科院長の清水勉氏は、「被災した人は自宅全壊や半壊がほとんどだ。窓口負担徴収の免除や猶予は大変助かる」と話した。

■医療機関の復旧こそ

 住江会長は、「被災者の健康を確保するためにも被災医療機関の復旧が最重要だ。また被災者の窓口負担免除・猶予の徹底も不可欠だ。保団連として国に強く要請していく」と語った。また、益城町の訪問後は熊本協会役員と懇談し、全国をあげた支援を表明した。

以上