【医科】2016年診療報酬改定A
―介護移行へ リハの減算強化―
(全国保険医新聞2016年5月5・15日号より)
2016年診療報酬改定では、維持期リハの介護保険移行が強化された。
維持期リハの介護移行強化
要介護・要支援者の維持期リハビリテーションは、18年3月末まで2年延長されたが、介護保険への移行措置はさらに強化された(※)。
要介護・要支援者(脳血管疾患等、運動器、廃用症候群に係るリハ算定)を対象に、目標設定等支援・管理料(初回250点、2回目以降100点)が新設された。リハビリの目標設定等や進捗管理を行い、必要に応じて訪問・通所リハの紹介や見学・体験を提案する。算定日数上限の3分の1を経過後も本管理料を算定しない場合、疾患別リハの点数が90/100に減算される(10月より実施)。
また、維持期リハの点数は、算定点数が疾患別リハビリの所定点数から従前90/100だったが60/100に大幅に減算された。同様に、通所リハの提供実績がない場合の減算も、算定点数が90/100から80/100に減算された。要介護・要支援者のリハビリに3重の減算がかかることとなる。
4割水準に大幅低下
例えば、運動器リハ(V)で3つの減算が適用されると、85点×90/100×60/100×80/100=37点となる。指圧など消炎鎮痛等処置(35点)の水準まで点数が低下し、PT等の人件費も捻出できなくなる。大幅減算のみならず、算定日数上限内にも減算を導入して、強引に介護移行を進めることは問題である。
廃用リハを新設
脳血管疾患等リハに区分されていた廃用症候群リハが新たな点数として独立した。点数は据え置かれたが、引き続き介護保険移行の対象とされるとともに、算定上限日数は180日から120日に短縮された。前回の14年改定で、廃用症候群リハの点数は運動器リハよりも低くされており、動向が注視される。
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※ 維持期リハビリテーションと介護保険移行
算定日数上限を超えた患者のうち、リハビリ継続による状態の改善が見込めない患者に対して状態維持を目的に実施するリハビリ(算定日数上限の除外対象を除く)。@維持期で、A入院外の、B要介護・要支援者に実施する、C脳血管疾患等リハ(算定日数上限180日)、運動器リハ(同150日)、廃用症候群リハ(同120日)が、介護保険への移行対象となる。
要介護・要支援者に対するリハビリ点数(運動器リハ)
点数名 |
点数 |
維持期
リハビリテーション |
80/100
の点数 |
(T) |
185点(167点) |
111点(100点) |
89点(80点) |
(U) |
170点(153点) |
102点( 92点) |
82点(74点) |
(V) |
85点( 77点) |
51点( 46点) |
41点(37点) |
※ |
1単位当たりの点数。維持期リハは1月に13単位までの算定に限る。 |
※ |
( )内の点数は、算定日数上限の1/3を経過した患者で、直近3カ月以内に目標設定等支援・管理料を算定していない場合。 |
※ |
維持期リハは、算定点数が60/100に減算される。 |
※ |
80/100の点数は、過去1年間に通所リハ(介護予防含む)の実績がない医療機関が入院外の患者に提供した場合。 |
以上