学術研究の軍事利用を危惧
―戦争と医の倫理 検討委員ら会見―
(全国保険医新聞2016年7月15日号より)
日本学術会議の大西隆会長が個別的自衛権の範囲内であれば軍事研究を容認するとの考えを表明し、日本学術会議内に「安全保障と学術に関する検討委員会」を設置した問題で、「戦争と医の倫理の検証を進める会」は6月8日、参議院議員会館で記者会見し、「日本学術会議の軍事研究容認の動きを危惧し、反対する」声明を発表した。同会事務局長を務める住江憲勇保団連会長も出席し、「第2次世界大戦下の731部隊問題等過去の教訓に学ぶならば、研究が個別自衛権の範囲に留まるとは考えられず、限りなくエスカレートしかねない」と大西会長の見解を批判した。
NHKなど9報道機関が参加し、記者からも「学術分野での軍事研究容認の流れに危機感を抱いている」との発言があるなど、高い関心が示された。会見は、ネットテレビIWJ、「朝日」、「毎日」、「東京」、「赤旗」各紙が報道した。
この問題の背景には、国の学術予算が極端に低いこと、安保法制の「整備」として創設された防衛省の安全保障技術研究推進制度について自民党国防部会では100億円規模にしようという議論が行われていることがある。これらの動きは、学問の自由な発展を阻害する可能性のある重大な問題である。
会見には、同会の西山勝夫代表世話人(滋賀医大名誉教授)、香山リカ(立教大学教授)、川嶋みどり(日赤看護大学名誉教授)、松村高夫(慶応大学名誉教授)各世話人が参加し、小島荘明常任世話人(東京大学名誉教授)がメッセージを寄せた。。
以上