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【医科】2016年診療報酬改定B
―回リハ病棟で成果主義拡大―

全国保険医新聞2016年6月15日号より)

 

実績水準以下はリハ切捨て

 これまで回復期リハビリテーション病棟では、疾患別リハビリテーションについて1日9単位(患者1人につき)まで出来高で請求できた。今回、リハビリの効果(※FIM評価)に係る実績が一定の水準に達しない場合、1日6単位を超える疾患別リハビリについては、6単位までしか保険請求が認められなくなった。リハビリテーション充実加算の算定に必要となる計算単位数にも含められず、加点が困難になる。
 2008年改定で回リハ入院料本体に、重症患者の受入割合、ADL改善度合いや在宅復帰率など成果主義が導入されたが、今回、疾患別リハの保険請求単位数の引下げにまで拡大された。

改善幅・診療実日数で実績評価

 リハビリ効果の実績は、対象患者群について、運動機能の改善幅を診療実日数で割る形で算出して、一定の水準以上でクリアとなる(表)。4月以降の入院患者を実績評価の対象として、17年1月より実施する。
 患者選別の防止のため、全介助に近い者や(FIM運動項目20点以下)、ほぼ自立に近い者(同76点以上)、80歳以上や認知症(FIM認知項目24点以下)など、リハビリ効果が出にくいとされる患者は、入棟患者数の3割以下の範囲で、計算対象より除外できる。高次脳機能障害の患者割合が退棟患者の40%以上の場合は全て除外できる。 

低効率の患者敬遠、早期退院

 患者の選別防止が講じられつつも、除外される患者はあくまで限定される。80歳未満でも効果が出にくい患者もいる。疾患発症前のFIM状態も考慮されていない。脳血管疾患等で発症を繰り返すケースや別の疾患を発症した場合など、元々のADLが低いと改善幅も見込めなくなる。
 診療実日数は、入院日数を入院料の算定上限日数で割って算出する。実際の入院日数が短いほど、分母にあたる診療実日数が低くなり、実績指数は高くなるため、早期退院が促進される。成果主義拡大で、リハビリ効率の低い患者の敬遠、無理な早期退院などが懸念される。

 


※ FIM評価(機能的自 立度評価法)
どの程度、他人や道具に頼らず日常生活できるかを測定する手法の一つ。リハビリ評価で汎用。全介助等(1点)から完全自立(7点)の7段階で採点。計18項目(運動12、認知6)で合計18点〜126点の評価となる。

以上