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2016参院選―社会保障のあり方問われる―

全国保険医新聞2016年6月15日号より)

 

消費税増税は延期ではなく中止を

 安倍首相は1日、2017年4月に予定していた消費税の10%への増税を19年10月に再延期と表明し、この判断について、参院選で「国民の信を問う」と述べた。
 安倍首相は増税再延期の理由を、「世界経済が不透明感を増している」からとしたが、アベノミクスの下でも国民生活が豊かにならず、消費の落ち込みが続いているためと考えられる。第2次安倍政権が発足した12年以降、物価変動の影響を考慮した勤労者の賃金(実質賃金)は5年連続でマイナスとなった。2人以上の世帯の実質消費支出も、消費税が8%に増税された14年から、2年連続で前年比マイナスだ。消費税増税は延期ではなく、中止すべきだ。

医療への国民の関心高い

 麻生太郎財務大臣は7日の会見(財務省大臣記者会見概要)で、増税の再延期で、社会保障について「やれる範囲はおのずと限られてくる」と述べた(メディファクス6月8日付)。政府が3日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2016」では、社会保障費の自然増分を毎年3000〜5000億円削減するために政府が昨年末にまとめた給付削減・負担増計画を、「改革工程表に沿って着実に実行」するとしている。消費税増税の再延期により、社会保障費の抑制圧力がさらに強まることが懸念される。そもそも、逆進性の強い消費税で社会保障費を賄うこと自体に道理がない。保団連は、消費税増税をしなくても、被用者保険の加入者を増やすことや法人実効税率の引き上げなどで社会保障の財源を作り出せると主張してきた。
 「毎日」の世論調査(5月30日付)では、参院選で重視する争点は「医療・年金」がもっとも多い。4人に1人が争点にあげた。参院選では社会保障費の財源のあり方を含め、安倍政権がこれまで進めてきた医療費抑制や患者負担増の方向性が問われる。

以上