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更なる負担増に向け議論
 ―介護保険法改正―

全国保険医新聞2016年6月25日号より)

 

 2018年度の介護保険制度改定に向けた議論が開始された。2月17日の社保審介護保険部会では、▽軽度者への支援の在り方▽福祉用具・住宅改修▽利用者負担▽費用負担(総報酬割・調整交付金等)―などの検討項目が示された。具体的な議論はこれからだが、医療・介護総合法に続き、「軽度者」を中心にさらなる負担増・給付減が議論される流れだ(資料2:PDF)。とりわけ、この間、医療・介護改革に大きな影響を及ぼしてきた財務省の財政制度等審議会は「建議」で具体的な検討内容を示している。「骨太の方針2015」では本年末までに結論を得るよう求めており、審議動向が注視される。

要介護1・2は保険外も

 「建議」では、要介護1・2の生活援助サービス支援の「保険外し」を求めている。特に、掃除、調理・配膳の利用が多いと問題視している。厚労省は、検討対象は家事援助に限定されるものではないと述べており(メディ・ウォッチ2月18日)、薬の受け取り・通院等乗降介助及び身体介護等も検討される可能性がある。
 しかし、訪問介護(家事援助)は、ヘルパーと利用者の共同を通じた自立支援であり、単なる家事援助ではない。専門職だからこそ利用者の微妙な状態変化に気付き、早期対応も可能となる。ボランティア等に委託となれば、事業の遍在・継続性の不安定さが問題となり、介入困難事例の放置等も懸念される。

福祉用具貸与も自己負担増

 また、「建議」では、福祉用具貸与は原則自己負担(一部補助)とし、軽度者(要介護2以下)は給付割合を大幅に引き下げるべきとしている。しかし、ベッドや車椅子など福祉用具レンタルは山間・僻地・離島等でも行き渡り、家族・ヘルパーの負担軽減として重要な役割を担っている。給付費の3%にも満たない費用の削減により、かえって転倒増大や自立した行動が制限され、重度化が進みかねない。その他「建議」では、利用料の2割負担の対象(単身では年収280万円以上等)を広げ、原則2割化すべきとも求めている。

療養病床廃止で行き場懸念

 介護療養と医療療養25対1の両病床(13万7,000床)は、17年度末に廃止が予定されている。新たな受け皿として、医療を内包した施設系サービスと訪問診療を提供する居住スペース(病院内・併設等)の2類型について制度設計を社保審で議論している。
 プライバシー尊重など「住まい」機能を整備するとしており、利用者負担増(補足給付の削減等)が遡上に上がることが懸念される。報酬についても、審議に先立ち、厚労省の担当課長(当時)は「厳しい財政状況で、正直今より多くの報酬を支払うことはできない」と述べている。日医、四病協は、まず「現行制度の再延長を第一選択肢として検討すべき」などと強く求めている。6月9日の社保審医療部会では、厚労省は「(療養病床の)廃止の再延長も含めて議論する」と述べている。病床存続に向けた議論が望まれる。

以上