【政策解説】負担増・給付抑制6つの手口
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第1の手口 |
外来受診のたびに1回100〜500円を1〜3割負担に上乗せして負担する。
例えば5,000円の医療費がかかった場合、3割負担の1,500円に上乗せして500円を負担する。合計で2,000円になり、5,000円の医療費の4割も負担することになる。健康保険法の「将来にわたり7割給付を維持する」という規定に反する。
保険給付額を後発医薬品の薬価に限定し、先発医薬品の処方を選んだ場合には、その差額を負担する。
薬を多く服用する高齢者を中心に負担増を余儀なくされる。
第2の手口 |
75歳以上の高齢者の窓口負担1割を2割に引き上げる。
75歳以上の窓口負担は、数年間かけて2割に引き上げる。さらに、保険料軽減を来年度から段階的に廃止。高齢者の6割が大幅引き上げになる。
政府統計では、75歳以上の1人当たり医療費の自己負担額の平均は年間約8万円だ。年齢が高くなるにつれて、医療費は増大するが、収入は減少する。収入に対する医療費の自己負担は高齢者ほど高いのが実態である。
介護保険では65〜74歳の利用料1割を2割に引き上げる。次いで75歳以上の利用料も2割へ引き上げる。
第3の手口 |
一般病床の入院時の食事代負担の引き上げに続いて、一般病床の入院時の居住費(光熱費相当)負担を導入する。
新たに1日320円、1カ月で9,600円の負担増になる。1〜3割負担に追加して、食事代の負担1,380円と合わせて1日1,700円、1カ月で5万1,000円もの負担を余儀なくされる。
入院は治療する場であり、「住まい」としての機能はない。居住費(光熱水費相当)の負担を求める理由はない。
第4の手口 |
市販品として定着したOTC類似薬(湿布、うがい薬、ビタミン剤、漢方薬、胃腸薬、鎮痛剤など)を保険給付から外す計画だ。
要支援1、2、要介護1、2の利用者が、福祉用具をレンタルした場合、原則自己負担にするか、保険給付の割合を大幅に引き下げて、償還払いにする。
第5の手口 |
医療・介護の負担上限を引き上げる
70歳以上の医療費の自己負担上限の月額を引き上げる。
介護利用料の自己負担上限の月額も引き上げる。
第6の手口 |
「1人当たり医療費の地域差『半減』に向け、年々縮小する」、「1人当たり介護給付費、要介護認定率の地域差を縮小させる」ことが計画されている。都道府県ごとの医療費・介護費の構造を把握し、その地域差を不合理であると問題視するものだ。
医療・介護の提供体制「改革」では、「『病院完結型』から『地域完結型』へ」の名目で、入院できる「患者像」を絞り込み、退院・在宅復帰を促進する。入院病床と入院患者数を減らして、入院医療費16兆円(年間)を抑え込んでいく計画だ。この具体化として、都道府県は「地域医療構想」を策定し、2018年度から開始する医療計画に盛り込む。
押し出された患者の受け皿とされているのが、少ない医療・介護サービスと「自助・互助」を組み合わせて支える、ときどき入院、ほぼ在宅≠ニいう地域包括ケアシステムである。
本来、その患者さんにあった場所につなげるべきだが、地域の看護・介護の力が弱体化しているにもかかわらず、とにかく「在宅」へシフトさせようとしている。
以上