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【医科】2016年診療報酬改定C
―複雑化する在宅の評価―

全国保険医新聞2016年7月5日号より)

 

 今次改定では、在宅のかかりつけ医機能を評価する「在宅時医学総合管理料」「施設入居時等医学総合管理料」に、患者の重症度評価などが導入された。算定方法がさらに複雑化するとともに、2014年度改定以前の報酬水準よりもおおむね低く据え置かれた。

算定が72区分と大幅複雑化

 重症度の高い患者への評価を充実するとして、在医総管等に、「重症患者(月2回以上の訪問)」等の評価区分が導入された。難病、末期がん、HIV等の疾患や人工呼吸、気管切開、透析等の処置など19対象で規定される。他方、月1回の訪問診療での管理料算定も可能とされた。
 また、診療効率を高めるとして、同一建物内の患者の取り扱いは、同一日の訪問人数から、同一月内の在宅医学管理の人数へ変更された。患者の居住場所では、医師看護師配置義務のないサ高住やグループホームなどが、在医総管から施設総管(旧特医総管)での算定となった。
 患者の▽居住場所▽重症度等▽支援診等の届出区分▽単一建物内の患者管理数▽訪問回数―に応じて、算定区分は各36通りとなる。処方せん交付の有無も加えると各72通りへ、これまでの16通りから大幅に複雑化した。改定の度に算定区分が複雑化し、点数が変動・低下し、現場は右往左往させられている。

本体点数据置・低下、加算傾斜

 総じて、重症患者1人のみを管理する場合の評価について、従来の同一建物居住者以外での点数に若干の上乗せ・据え置く形に留められ、それ以外の場合での評価は、14年改定以前よりもおおむね低い水準に据え置かれた。
 別途、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算、在宅療養実績加算2の新設など、看取り・往診の件数に応じた加算での評価がさらに強められた。
 保団連が改善を求めてきた同一建物に係る減算は、同一日の訪問人数から月内の管理人数への変更に伴い、削減幅の一定の緩和が図られた。

集住高齢者は 安価に管理

 同一建物に係る減算は緩和されたが、これまで別々の日に患者を訪問して「同一建物居住者以外」を算定してきた医療機関では、評価が極端に下がる事態となっている。例えば、改定前に、強化型以外の支援診・支援病において、サ高住で、複数の患者を別々の日に訪問診療して在医総管4,200点を算定していた場合、施設総管において、2〜9人の場合で1,500点、10人以上の場合で1,100点と、3分の1、4分の1に極端に点数が下がる。集住する高齢者について低コストでの診療を求めている。
 1年間は在医総管(1人区分)を算定できる経過措置が設けられたが、過疎地・僻地・山間地等訪問系介護サービスの供給・確保が困難が未整備な地域など、集住する高齢者を診療せざる得ない現状もあり、かえって在宅医療の普及に支障が生じかねない。在医総管等は、個々患者の医学管理を評価する以上、診療人数等で大幅な点数格差を設けることは疑問も多い。

以上