子ども医療費助成拡大進む
―ペナルティ廃止は不可欠―
(全国保険医新聞2016年7月15日号より)
厚労省は6月3日に「乳幼児等医療費に対する援助の実施状況(2015年4月1日現在)」の調査結果を公表した。
子ども医療費助成制度は、市区町村が都道府県の助成にさらに上乗せして助成を行っている。都道府県では就学前までの助成が最も多く、通院25都道府県、入院22都道府県となっている。2014年から15年までの間に、通院で大阪府が3歳未満から就学前までに助成を拡大した。
一方、市区町村では15歳年度末(中学卒業)まで助成している市区町村が最も多く、通院で996市区町村、入院で1,200市区町村にのぼる。また18歳年度末(高校卒業)まで助成を行っている市区町村は、通院で269市区町村、入院で286市区町村になった。
さらに所得制限と一部負担金を撤廃した市区町村も多い。北海道南富良野町では、11年より就労者を除く学生など22歳年度末まで助成を行っており、現在でも全国で最も対象が拡大している。
自治体による子ども医療費助成は拡大を続けているが、償還払い(2割または3割を医療機関の窓口で負担し、後日返金を受ける制度)としている自治体が少なくない。償還払いは窓口負担を理由に受診抑制が起こりやすいが、自治体が医療費助成を現物給付で行うと、国保への国庫補助金が減額されるペナルティーがある。厚労省は、今年3月に「子どもの医療制度のあり方等に関する検討会」の取りまとめにおいて、ペナルティーを「早急に見直すべきとの意見が大半を占めた」と記載した。しかし、安倍内閣の1億総活躍プランでは、ペナルティーの廃止について「見直しを含めて検討し、年末までに結論を出す」との表現にとどまっている。
子どもが生まれ育つ場所に関係なく、安心して医療を受けられるためには、国による中学卒業までの子ども医療費無料制度創設とペナルティー廃止が不可欠である。
以上