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高齢者の負担増検討
―参院選終え、社保審・医療保険部会で議論始まる―

全国保険医新聞2016年7月25日号より)

 

 厚労省は参院選後の7月14日、社会保障審議会医療保険部会を開き、70歳以上の高額療養費制度の月額負担上限の引き上げと、75歳以上の窓口負担増に関する議論を始めた。社会保障費の削減を重点課題とした昨年の「骨太方針」が示した「経済・財政再生計画」の実施に向けて具体的な検討に取り掛かった。昨年末にまとめられた「改革工程表」では、高額療養費制度について今年中に結論を出すとしており、当面の焦点となる。
 患者が支払う毎月の医療費の上限を定めた高額療養費制度は70歳以上になると自己負担の上限が引き下げられ、所得に応じて最高で月約8万7,000円、外来については複数疾患を併発しやすい高齢者が受診しやすくし早期発見につなげるため特例措置で約4万4,000円に抑えられている。
 財務省・財政制度等審議会では高額療養費の見直しを「最優先の課題」として、外来特例の廃止が提案された。入院・外来を通じて所得に応じて最高約25万円が上限となる70歳未満の水準並みに引き上げる内容だ。

遅滞なく進める―経団連

 医療保険部会で望月篤委員(日本経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長)は、「改革工程表」を遅滞なく進めるべきと強調。外来特例は廃止が妥当とし、高齢者の自己負担上限を70歳未満に合わせるよう求めた。75歳以上の窓口負担も原則2割負担に引き上げる方向で見直すべきとした。

高齢者の生活に配慮を―日医

 松原謙二委員(日本医師会副会長)は、高額療養費について、高齢者の年金収入は多くなく、負担増が高齢者の生活を壊さないよう配慮を求めた。75歳以上の窓口負担も「一挙に高くすることは反対」と発言した。

治療中断、重症化招く

 参院選に向けた世論調査では医療など社会保障への関心が最も高かったが、安倍政権は争点化を避け選挙後に議論を始めた形だ。今後もさらなる負担増の検討が続く。
 保団連の受診実態調査では医科・歯科合わせて約4割の医療機関で経済的理由の治療中断が見られた。さらなる負担増は受診抑制を深刻化させ重症化を招く。保団連では、さらなる患者負担増を止めるため請願署名を9月の臨時国会まで延長して取り組む。

以上