介護 重症化まねく負担増
―厚労省審議会が検討 年内結論へ―
(全国保険医新聞2016年8月25日号より)
介護保険の利用者負担増が厚労省で検討されている。軽度者のサービス削減等を示した昨年の「骨太の方針2015」を受けたもの。年内の結論を目指す。
軽度外しが標的
7月20日の社保審介護保険部会の論点提示では、厚労省から具体的な見直し案は示されなかったが、財務省は▽要介護1・2向けの掃除、調理・配膳等の生活援助は「原則自己負担」▽要介護2以下の福祉用具貸与・住宅改修の「原則自己負担」▽介護給付・予防給付のさらなる地域支援事業化▽利用料負担限度額の引き上げ▽利用者負担の原則2割化―などを主張している。「軽度者」サービスの保険外しが見直しの標的といえる。
「生活援助は 生命線」
生活援助を“単なる家事代行”として介護サービスの専門性を疑問視する声が常にあり、報酬がさまざまに切り下げられてきた。20日の部会でも保険者は、「軽度者の生活援助が重症化予防に役立っているか根拠が示されるべき」と述べている。
こうした声に対し、京都市内で働くヘルパーが作る京都ヘルパー連絡会は、200人以上の生活援助事例を調査し、生活援助は「在宅生活の生命線」と主張している。
例えば、独居の糖尿病患者(要介護2)で、経済的理由で週1回45分のみ生活援助利用のケース。疾病を考慮しつつ単純化・貧困化しがちな食事にならないよう、献立を一緒に考えることからはじめ、身体に負担のかからない調理法や器具の使い方、残り物の保存法なども具体的に助言している。生活援助を通じて利用者の心身状態が保たれ、在宅生活を長続きさせていることがよく分かる事例が紹介されている(「シルバー新報」8月5日付)。
軽度者外しはかえって重度化を招きかねず、審議動向が注視される。
以上