オプジーボ英国の5倍 健保連も指摘
―製薬団体 中医協でコメント避ける―
(全国保険医新聞2016年10月5日号より)
中医協でヒアリングに回答する日薬連ら
厚労省は9月14日、中医協を開催した。抗がん剤オプジーボなど高額薬剤に係る対応について、日本製薬団体連合会(日薬連)など日欧米の製薬3団体のヒアリングを実施した。
高額薬剤の「期中改定」に対し製薬3団体は、薬価の安定性・予見性を損ない、新薬開発や効能追加への意欲を削ぐ等として反対の姿勢を示した。
協会けんぽ委員は、議論の焦点は、革新的新薬の評価の在り方ではなく、期中に効能効果等を追加し、薬剤費が拡大した薬剤への対応とした。今回のオプジーボのように効能等追加で市場が大幅に拡大しても、次の通常改定まで薬価が変更されない制度上の不備についての指摘である。
オプジーボの薬価について、健保連委員は、「1バイアル100mg/10ml)で、日本が73万円に対し、米国が25万円、英国は15万円」と、保団連が「日英で5倍の開きがある」とした調査と同趣旨の内容を指摘。「高額薬剤が、国民皆保険の危機を招いている」として、期中改定すべきと強く求めた。製薬団体の代表は「資料がないため分かりかねる」とオプジーボ薬価についてコメントを避けた。
企業戦略が皆保険制度を翻弄 ―日医
期中での効能効果等追加について日薬連の代表が「小さな市場から入り、適応拡大していくのが革新的新薬についての企業戦略」との認識を示したことに対し、日医委員は、「まさにオプジーボだ。企業戦略であれば大きな問題。企業戦略によって日本の公的医療保険制度が翻弄されている」と問題視し、「期中改定とまではいかないが、何らかの対応が必要ということに同意してほしい」と訴えた。
保団連は、オプジーボについては期中改定を行い、英米独仏の実勢価格を踏まえた水準に引き下げるよう求めている。早ければ11月にもオプジーボの類薬キイトルーダが薬価収載される見通しで、10月に示されるオプジーボに係る緊急対応案の行方が注視される。
以上