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厚労省検討会 「コンピュータ審査徹底を」
―患者が受ける医療に影響大きい―

全国保険医新聞2016年9月25日号より)

 

 厚労省は4月から「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を設置し、ICTやビッグデータの活用による保険者機能の強化に向けた議論を進めている。
 7月までに4回の検討会を行い、基金、国保からのヒアリングを終えて、@審査の効率化と審査における不合理な差異の解消、A医療・介護のサービスの質を高めるためのデータ活用―の2つのテーマでワーキンググループ(WG)を立ち上げた。具体的な方策について集中的に検討を進めるとしている。審査問題は「審査・支払効率化WG」ですでに9月1日から非公開で議論が開始され、10月末に検討会に報告される予定となっている。
 検討会で支払基金は「改革案」を説明、その中で「ICTの活用による審査の段階化」として、徹底したコンピュータの活用により、人による審査のコンピュータへの置き換え、審査委員による審査(全体の約20%程度としている)の削減を提案した。議論では特に審査基準の差異が問題視され、支払基金と国保連合会の差異、都道府県別の差異解消が課題とされた。
 WGでは差異解消に向け、具体的な違いを明らかにする「見える化」の方策や解消手段などが議論されると思われる。

「削減」ありきの改革

 問題はこの議論の出発点がコスト削減による審査手数料の大幅削減、保険者の事業推進のための支援拡大などを目的とする規制改革会議の議論を受けて行われていることだ。「削減」先にありきのドラスティックな改革推進は、国民皆保険の要となる機能を担う審査・支払機関の在り方を歪め、国民の医療を受ける権利に大きな影響を及ぼす可能性がある。またコンピュータチェックへの置き換えは保険診療の範囲や、医師の裁量の幅を限りなく縮小しかねない問題もはらんでいる。

以上