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実態調査し必要医師数を検討
―医師需給・偏在―議論の動向―

全国保険医新聞2016年11月5日号より)

 

 規制的・統制的手法に注視

 今年6月、厚労省「医療従事者等の需給に関する検討会」の医師需給分科会「中間とりまとめ」を公表した。医師の需給は2024年頃に約30万人で均衡し(中位推計)、「将来的な供給過剰が見込まれる」とした。偏在については、医師の「自主性を尊重した対策だけではなく、一定の規制を含めた対策を行っていく観点」から14の検討項目を挙げた。今年末にもとりまとめ、18年度からの第7次医療計画にも反映される。
 住む場所に関わらず、すべての人が必要な医療を受けられるよう、医師を確保することは不可欠だ。しかし、医師への負担押し付けや、医療費抑制の観点からの需給規制、規制的・統制的手法による偏在対策にならないよう注視が必要だ。
 医師需給については、病床再編・削減に向けて策定が進められている地域医療構想を踏まえて需給推計が行われた。この推計に対しては、特に勤務医や女性医師の勤務実態が反映されていないなどの問題点が指摘されている。
 中間とりまとめでは「より精度の高い推計」を行うとしており、厚労省は10月に設置した「医師等の働き方ビジョン検討会」で勤務実態の調査を実施し、必要な医師数を検討する。

 

診療所管理者に「条件」か

 偏在対策について中間とりまとめには、医療計画での医師数の目標値の設定や専門医等の定員調整、将来的に偏在等が続く場合の保険医配置・定数の設定、自由開業・自由標榜の見直しも含まれている。
 また、特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、診療所等の管理者の要件とすることも検討項目として挙げられた。10月の分科会では、保険医登録や保険医療機関の管理者の条件として、医師不足地域で一定期間勤務することとしてはどうか、との意見が出されている。
 医師需給・偏在対策は、政府の「骨太方針2016」や医療・社会保障の「改革工程表」でも示された方針。医療の効率化・適正化に向けた地域医療構想や地域包括ケアシステムなど制度面の改革を、医師に担わせるための「対策」であってはならない。

以上