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「かかりつけ」以外の負担増
―厚労省審議会で議論始まる―

全国保険医新聞2016年11月5日号より)

 

 厚労省は10月26日、社会保障審議会医療保険部会を開き、かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担導入について議論を開始した。
 昨年決まった経済・財政再生計画の改革工程表で来年の通常国会での法案提出に向けた検討を進めることが盛り込まれた。かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担については、これまで100円から500円などの案が出ている。

 

7割給付維持が争点に

 26日の社会保障審議会で、日本医師会の松原謙二副会長は、現役世代の自己負担を2割から3割に引き上げた2002年の健康保険法改正時の付則(※附則(平成一四年八月二日法律第一〇二号)の第二条)で「将来にわたって7割の給付を維持する」としていることを指摘し、定額負担の導入を不適切だと批判した。定額負担を導入すれば3割を超える負担が生じることになる。日本歯科医師会の遠藤秀樹常任理事も、負担増が受診抑制を招き重症化につながる懸念を示した。
 保団連が会員医療機関約1万2000件を対象に行った調査では4割以上で経済的な理由による治療中断を経験していた。高血圧症や糖尿病など定期的な受診と継続的な管理が必要な疾病で中断が多かった。
 社会保障審議会ではこの他、委員からかかりつけ医の定義が明確でない、国民の納得が得られないなど、定額負担導入に反対する意見が相次いだ。

 

スイッチOTCも議論

 同日の社会保障審議会では、スイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付率を引き下げることについても論点が提示された。これについても、7割給付維持との関連や財政効果が不明確など、否定的な意見が多くを占めた。

以上