薬価制度改革 年内に基本方針
―原価内訳、改定頻度などが焦点―
(全国保険医新聞2016年12月15日号より)
厚労省は11月30日の中医協・薬価専門部会に、薬価制度の抜本改革に向け、年内に基本方針をまとめ、中医協で具体化するとした。「経済財政諮問会議で議論し、年内に方針をまとめる」とした総理の指示を受けた形である。
11月25日の経済財政諮問会議で、厚労省は、薬価制度見直しの「検討の方向性」を提示。「国民皆保険制度の持続性」に関わって、▽効能追加等で一定規模以上の売り上げが伸びた場合、年4回の「新薬収載の機会」を活用して薬価を下げる▽市場環境の変化で一定以上の薬価差が生じた品目は「少なくとも年1回」は薬価を下げる▽外国価格のより正確な把握などで「外国価格との調整を大幅に改善」するなど、薬価制度見直しに向けた論点を示した。他方、製薬企業の「イノベーションの推進」として、▽効果が高ければ薬価を値上げする「費用対効果評価」を本格導入する▽各種加算や営業利益率など「イノベーション評価の加速化」を図る▽新薬の薬価算定における「正確性・透明性の向上」―などにも言及した。
30日の中医協では、経済財政諮問会議で「検討の方向性」が突如示され、年内にも基本方針を定めるとした手順に異論が噴出した。「薬価制度の議論は中医協が最上位であるべき」「時間的制約で十分な議論ができない」などの声に対し、迫井医療課長は「高額薬剤の問題は国家財政に大きな影響を及ぼす。諮問会議で扱うのは政治の視点としては重要」と理解を求めた。
原価内訳の公表、改定頻度は
新薬の原価計算方式について、同諮問会議の民間議員は「製造総原価の詳細内訳の公表を義務付けるべき」と求めている。例えば、オプジーボの当初薬価は1瓶(100mg10ml)で73万円だが、46万円を占める製品総原価について、原材料費、労務費、研究開発費など内訳は公表されていない。製造業の2.5倍、全業種の4倍となる営業利益率の設定の在り方も議論になりそうだ。
外国価格との調整では、値引きを前提に高く設定する米国の取り扱い、薬価収載後の外国価格との調整実施などが議論の俎上に上がる。
薬価改定の頻度を増やす場合、薬価引き下げ分の技術料への充当の有無が焦点となる。薬剤を包括評価するDPC改定の頻度にも影響する。事務負担やシステム改修等で薬価が高止まりするとの指摘もあり、診療側・支払側で意見の隔たりは大きい。
以上