介護職員の処遇改善を
―4月に報酬臨時改定 保団連がパブコメ―
(全国保険医新聞2017年2月25日号より)
厚労省が今年4月に介護報酬を臨時改定し、「介護職員処遇改善加算」に新区分を設ける問題で、保団連は2月12日、住江憲勇会長名でパブリックコメントを提出した。
厚労省は、「介護職員処遇改善加算」に新区分を設けるための介護報酬改定を2017年4月に臨時に実施する方針を1月18日の「介護給付費分科会」に提案し、了承された。
具体的には、従来の介護職員処遇改善加算(T)の要件に加えて「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けた(就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む)」場合を新たな加算(T)とし、月に1万円相当を加算するというもの。
従来の加算(T)〜(W)は、新加算(U)〜(X)とされ加算率が若干引き上げられるものもあるが、@介護療養型医療施設と短期入所療養介護、A小規模多機能型居宅介護、B看護小規模多機能型居宅介護、C特定施設入居者生活介護、D認知症対応型共同生活介護等では加算率が引き下げられる。
臨時改定の引き上げ幅は、施設0.42%+在宅0.72%=1.14%とされているが、当該加算は介護職員の処遇改善を目的とするため、訪問看護、訪問リハビリ、福祉用具貸与、福祉用具購入、居宅療養管理指導、居宅介護支援では算定できない。
今回の臨時改定は、介護労働者や介護事業所の運動や、野党4党が昨年の通常国会に介護職の賃上げ法案を提出したことに押されて実施するものだ。保団連も今年1月の第2回代議員会で、介護報酬の引き上げと介護職員の処遇改善・増員などを求める決議を上げた。
臨時改定が介護を改善する成果である一方で、@新たな要件を満たさなければ引き上げにならず、全ての介護職員が引き上げにならないAサービスによっては、従来よりも加算率が引き下げられるB他の産業と比べて10万円低い賃金の改善にはほど遠いC介護職以外は対象外であるD本来は、基本的な報酬の中でなりたつ枠組みが必要―などの問題点が残る。
保団連は以下のパブリックコメントを提出した。
パブリックコメント
1.2017年4月改定について
@提案では、従来と同じ要件の場合は、(1)介護療養型医療施設と短期入所療養介護、(2)小規模多機能型居宅介護、(3)看護小規模多機能型居宅介護、(4)特定施設入居者生活介護、(5)認知症対応型共同生活介護等では加算率が引き下げられる。また、その他のサービスも新たな要件を満たさなければ引き上げ幅は少ない。全ての介護職員の賃金引き上げを行うことが重要であることから、従来の区分(T)〜(W)[新区分(U)〜(X)]について単位を引き上げ、介護報酬を底上げすること。少なくとも従来の加算率より引き下げないこと。
A介護職員の処遇は10万円近い賃金改善が必要であり、引き上げ幅をさらに上乗せすること。引き上げにかかる費用は、国庫負担の拡充で賄うこと。
2.介護職以外についても処遇改善を行うべきで、本来的には基本的な報酬の中でなりたつ枠組みが必要である。このため、10%以上の介護報酬の総枠引き上げを行うこと。また、そのための費用は国庫負担の拡充で賄うこと。 |
以上