【中医協】「かかりつけ医」巡り議論
―受診時定額負担の布石も懸念―
(全国保険医新聞2017年3月15日号より)
厚労省は2月22日の中医協総会で、2018年診療報酬改定に向けて「かかりつけ医機能」の役割を明確化することを提起した。「緩やかなゲートキーパー機能」などの表現に日本医師会の委員からは、受診制限につながるなどの懸念が指摘された。
受診制限を批判 日医
厚労省は、求められる「かかりつけ医機能」について、関係審議会の検討状況や諸外国の例を踏まえて報告。議論では、診療側が「かかりつけ医」の取り組み事例として、フリーアクセスに一定の制限を掛けるイギリス、フランス、ドイツが例示された点を問題視。日医副会長の中川俊男氏は、「わが国の医療事情は全く異なり参考にならない」と一蹴。「厚労省はフリーアクセスを制限し受診制限を進めるのか」と問いただした。厚労省は、患者が過度に大病院に集中することを防ぐなどの趣旨と説明した。
「かかりつけ医機能」の評価のあり方に関連して、日医常任理事の松本純一氏は「地域包括診療料」の届出医療機関が昨年7月1日時点で199に留まる点を指摘。「かかりつけ医」業務において半数近くの医療機関が「在宅患者に対する24時間対応」が最も負担であると回答した日医の調査を紹介しながら、連携を促すため訪問診療料の複数医療機関での算定を認めることなどを求めた。
政府は昨年、「かかりつけ医普及」を理由とした受診時定額負担導入を計画していたが、「かかりつけ医機能」に対する共通認識がなく受診抑制につながるなどの指摘を受け今国会への法案提出は断念した。引き続き同計画の議論を進め具体化を図る方針だ。
診療報酬改定に向けた議論が受診時定額負担の布石とならないよう注視が必要だ。
以上