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「医師増 必要ない環境作る」
―厚労省が報告書―

全国保険医新聞2017年4月25日号より)

 

絶対数の不足 覆い隠す 

 厚労省の「医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」は4月6日、報告書をまとめた。医師の絶対数の不足に手当てはないまま、医師数の抑制だけが進められかねない内容だ。

「偏在」是正は今後

 同報告書は、医師需給について「あえて医師数を増やす必要がない環境を作る」として、医療従事者の働き方の改革を進める方向性を示した。具体的な方策としては、医師が行っている業務の分担や他業種への振り分け、遠隔診療などだ。慎重な検討が必要である上、大本にある絶対的医師不足が覆い隠されてはならない。
 医師「偏在」については規制的手法による医師配置ではなく、医師の主体性を重視する方向を示した。しかし同報告書は、都道府県の取り組みを促進するとしており、都道府県を超えた全国的な「偏在」をどう是正していくかは、今後の厚労省の検討会や分科会での検討となる。
 ビジョン検討会は、医師の需給・偏在を議論していた「医療従事者の需給に関する検討会」の「中間とりまとめ」(2016年6月)後に設置された。報告書は今後の医療提供体制の「骨太の方向性」を示し、「これからの医療政策の基本哲学」と自らを位置付けている。

過酷な勤務実態

 厚労省は「ビジョン検討会」報告書と併せて、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の結果を公表した。調査は全国の医師10万人を対象に行い、回収は1万6,000件弱。調査では、週60時間以上勤務していた常勤勤務医(全年代)は、男性27.7%、女性17.3%だった。また44%の医師が「地方」(東京23区、政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外の地域)で勤務する意思があると回答した。

以上