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患者匿名情報の民間提供へ…衆院で法案可決
―保団連 慎重審議を要請―

全国保険医新聞2017年4月25日号より)

 

 政府が今国会に提出した次世代医療基盤法案が4月14日、衆議院本会議で可決された。保団連は20日、国会要請行動で「社会的な周知、合意は不十分」とし、参議院での慎重審議を国会議員に要請した。

公的管理・監視を

 同法案は、医療機関が保有する患者の医療情報や遺伝子情報を、患者が自ら拒否を申し出ない限り、匿名加工事業を行う民間事業者へ提供できるようにする新たな仕組みを作るもの。匿名加工を施された患者情報を製薬企業などが購入、利活用できるようにする。
 現在、医療情報は要配慮個人情報とされ、情報取得や第三者への提供等の場合、本人の直接同意を原則としている。これに例外規定を定め、本人の同意なく第三者に提供できるようにする。国民の自己情報コントロール権を侵害し、プライバシー保護が後退するおそれがある。
 また、患者の医療情報を匿名加工する事業者は、国の認定を受けるものの民間法人だ。民間事業者間における医療情報の突合や、別の民間事業者に委託や再委託も可能とされることから、患者の医療情報が外部流出するリスクが高まる。しかし、セキュリティ対策等の認定基準を遵守しているか、情報を購入した営利企業が利用目的以外に使用していないかなどの点検システムは不明確だ。公的な管理・監督体制を確立することが求められる。

患者守る規定を

 患者・家族が情報流出で被害を受けた場合など、患者・家族と医療機関との信頼関係が損なわれ、医療現場に混乱を招くことが懸念される。
 提供済みの医療情報の削除を患者・家族が民間事業者に求める権利規定、情報提供を拒否した患者や協力しない医療機関が不利益を被らない保護規定などについて、法文上で明確にする必要がある。
 保団連の要請書では医療情報を利活用する仕組みの構築は、「社会的な周知も合意も十分に形成されているとは言い難く、参議院において慎重に審議すること」を求めた。

以上