残業時間規制 医師は5年除外
―「過労死ライン」肯定 根本問題も―
(全国保険医新聞2017年4月25日号より)
罰則付きの残業時間規制などを焦点とする「働き方改革実行計画」を政府は3月28日に閣議決定した。秋の臨時国会で関連法案の提出を目指す方針だ。医師を残業時間規制の対象と明記する一方、5年間は適用除外とされる方向性も示された。
上限は100時間
政府の「実行計画」は時間外労働について罰則付きの上限を新たに設けているものの繁忙期の上限は月100時間未満とした。厚労省が示す月80時間の「過労死ライン」を超えた長時間労働を肯定するものだ。
若者の過労死などが社会問題化する中、命と健康を壊すような長時間労働の規制こそが求められているはずだ。政府の計画は問題の根本に切り込めていない。
医師は上限なし状態
また、医師には応召義務などの特殊性を踏まえた対応が必要として、「改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用する」「2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」とされた。
一般職種は施行後に年間720時間以内の上限になるが、医師は上限のない状態が施行から5年間続く見通しだ。
医療の安全脅かす
全国の勤務医でつくる全国医師ユニオン代表の植山直人氏は同日、声明を発表し、「国が単月100時間未満の時間外労働を合法化すること自体に反対ですが、さらに法の下の平等を侵害する医師への適応を5年間遅らせることに強く反対します」とした。植山氏はまた、「医師の長時間労働が医療安全を脅かすことは明らか」と批判。長時間労働の解消に向けた医師の増員による交代制勤務の導入と、5年間の適用除外期間に医師の過重労働を解消する政策を明示することなどを求めた。
以上