【中医協ひろい読み】かかりつけ歯科医機能
強化型歯科診療所―歯科医療
(全国保険医新聞2017年7月5日号より)
5月31日の中医協総会では、次回診療報酬改定に向けて、歯科医療(その1)が議論され、支払側委員からはか強診への意見が相次いだ。
冒頭、厚労省は、地域包括ケアシステムに位置付けられた、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)について、かかりつけ歯科医機能評価のイメージなどを整理し、今年秋頃の取りまとめを目指して進めていくと述べた。
日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏は、か強診に関連して、「『かかりつけ』と認識されている歯科診療所が必要な機能を果たすことが重要」と指摘した。また、補綴治療の減少について、「継続的な口腔管理の推進の成果もあるが、2年間の補綴物の再製を制限するクラウン・ブリッジ維持管理料(補管)の影響があると考える。超高齢社会の下、規制のあり方を見直す必要がある」と述べ、補管のあり方についても意見を述べた。
か強診前提の議論に疑問の声
一方、全国健康保険協会理事の吉森俊和氏はか強診を前提にした議論に反対し、「歯周疾患の重症化予防、他職種連携、高齢者医療の評価に重点をおくべき」と指摘。「医療連携において、高齢化社会への対応を推進するのが喫緊の課題」と訴えた。また、日本労働組合総連合総合政策局長の平川則男氏は「今さら『かかりつけ歯科医』のイメージを議論するのは後付け。評価が先でイメージを後で議論するのは順番がおかしい」と述べた。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「患者が率先してか強診を選択したと思わせる資料が提出されているが、実際はたまたま通院している歯科診療所がか強診だったという感想をもっている。こうしたものが必要か疑問。慎重に対応するべき。施設形態での差別化ではなく、う蝕から口腔機能の回復や重症化予防に取り組んでいるかによる差別化(重点化)をすべきだ」と主張した。
か強診の問題点について支払側委員から出された指摘は的確なものだ。
保団連は、「2018年度診療報酬・介護報酬改定に向けた保団連要求」を踏まえた厚労省要請、議員要請、および学会懇談等を通じて、改善要求の理解を広げ要求実現に向けた取り組みを推進していく。
以上