子ども医療費助成進む拡充
―ペナルティー廃止こそ必要―
(全国保険医新聞2017年8月25日号より)
中学まで助成8割
全国の自治体で子ども医療費助成が広がっている。厚労省が7月7日に公表した調査によれば2016年4月1日現在で中学生以上に通院を助成する市区町村は全体の8割近く、入院は9割以上に上る。
17年度以降もこの流れは続き、千葉県では入院・通院ともに中学までの助成が全市町村に広がり、高校までの自治体も倍増する。長野では県として中学までの入院・通院を助成することに決め、7割以上の市町村が高校までの助成を上乗せする。兵庫県では8割以上の自治体で中学まで無料になる。拡充する自治体はこれだけに留まらない。保険医協会・医会、保団連が多くの市民、団体と共に子ども医療費助成の拡充を訴えてきた成果だ。
一方、助成に所得制限を設けたり、一度は窓口負担金を支払う償還払いの自治体もいまだある。
過剰受診起きない
厚労省は子ども医療費を現物給付で助成する自治体に科してきたペナルティー(国保への補助金減額)を未就学児への助成に限って18年度から廃止することを決めた。全国的な助成の広がりが追い風となった。
国は窓口負担軽減が過剰受診を招くと強調してきた。『日本経済新聞』(8月1日付)も「子供医療費 過剰な競争 安易な受診を助長」との記事を掲載し、医療費助成の広がりが「医療費膨張」につながると論じた(8/5・15日号「意見と要望」を参照)。しかし、入院・通院を高校まで現物給付で所得制限も設けずに助成する岐阜県大垣市では、受診した患者数や医療費に大きな変化がなく、財政負担も市の予算の1.5%に留まるという実例もある。
そもそも親の経済力が理由で子どもが必要な医療を受けられない状態こそ問題だ。医療費助成をさらに広げ、ペナルティーを廃止することこそ必要だ。
以上